[注] GVHD (graft-versus host disease / 移植片対宿主病)
[出典] "CRISPR/Cas9 deletion of MIR155HG in human T cells reduces incidence and severity of acute GVHD in a xenogeneic model" Neidemire-Colley L [..] Ranganathan P. Blood Adv 2024-01-05. https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2023010570 [著者所属] Ohio State U, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, NYU Grossman Long Island School of Medicine, Abigail Wexner Research Institute at Nationwide Children's Hospital, U Uta.

 急性GVHDは同種造血細胞移植 (allo-HCT) の主要な合併症である。オハイオ州立大のParvathi Ranganathanが率いる研究チームは先行研究で、前臨床疾患モデルマウスにおいて、マイクロRNA-155 (miR-155) と急性GVHDの発症が関連することを発見していた。すなわち、miR-155宿主遺伝子 (MIR155HG) ノックアウトマウスに由来するドナーT細胞の移植は、再発防止に必要な移植片対白血病効果 (graft versus leukemia/lymphoma effect: GVL) を維持しつつ、複数のマウス疾患モデルにおいて急性GVHDを予防することを、発見した。

 今回は、ヒトドナー由来の初代T細胞において、miR-155をCRISPR/Cas9ノックアウトし (MIR155HGΔexon3)、miR-155の発現を安定的かつ持続的に減少させた上でマウスに投与したところ、miR-155が保持したままのヒトT細胞を投与されたマウスと比較して、致死的な急性GVHDから保護された。すなわち、MIR155HGΔexon3ヒトT細胞は、GVL反応を維持しつつ、in vivoの異種GVLモデルにおいて生存率を有意に改善した。

 本研究は、CRISPR/Cas9を介した初代ヒトドナーT細胞におけるMIR155HGのノックアウトが、強固な抗白血病反応を維持しつつ致死的GVHDから保護する同種ドナーT細胞を作製する革新的なアプローチであることが示した。