[出典] "A SINE-VNTR-Alu at the LRIG2 locus is associated with proximal and distal gene expression in CRISPR and population models" Hall A [..] Quinn JP. Sci Rep. 2024-001-08. https://doi.org/10.1038/s41598-023-50307-w [著者所属] U Liverpool, National Institute on Aging/NIH.

 SINE-VNTR-Alu (SVA) レトロトランスポゾンは、遺伝子座に挿入されると周囲のゲノムに影響を与える可能性のあ可動性制御エレメントの典型の一つである。ヒトゲノムにおいて、進化的に最近の転移の結果、あるレトロトランスポゾンが存在したり、あるいは存在しなかったりする遺伝子座が観察されるようになり、この現象がレトロトランスポゾン挿入多型 (retrotransposon (based)  insertion polymorphism: RBIPまたはRIP) と呼ばれるようになった。

 英米の研究チームは先行研究で [Int J Mol Sci 2020]、1番染色体上の遺伝子座LRIG2 (leucine-rich repeats and immunoglobulin-like domains 2) の上流約2kbに存在するSVA RIP ('LRIG2 SVA') が、局所的な遺伝子発現やメチル化の違いと関連し、両者が相関していることを観察していた。今回は、細胞株モデルにおいて、CRISPR-Cas9を介してLRIG2 SVAをノックアウトし、レトロトランスポゾンの存在が局所発現に直接影響していることを検証し、SVAが近傍のメチル化の制御エレメントとして、その影響は大きくはないが、機能することが示唆される結果を得た。

 さらに、Hi-Cデータセットを利用して、LRIG2 SVAが300kbほど離れた遺伝子群との長距離クロマチン相互作用にも関与していること、そしてこれらの遺伝子の発現は、CRISPR細胞株モデルと集団モデルの両方において、SVAの投与量と程度の差こそあれ関連していることが観察された。

 SINE-VNTR-Aluこれらのデータを総合すると、遺伝子発現調節にSVAが影響を与えることがあきらかなり、また、それにはクロマチンルーピングが関与している可能性があり [Figure 5引用右図参照]、RIPが転写ネットワークの個人差に寄与している可能性があるというモデルと整合する結論に至った。