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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] Pcsk9 (Prorotein convertase subtilisin-kexin type 9)
[出典] "Extracellular vesicle-mediated delivery of CRISPR/Cas9 ribonucleoprotein complex targeting proprotein convertase subtilisin-kexin type 9 (Pcsk9) in primary mouse hepatocytes" Ilahibaks NF, Sluijter JPG. J Extracell Vesicles. 2024 Jan. https://doi.org/10.1002/jev2.12389 [著者所属] University Medical Center Utrecht, Princess Máxima Center for Pediatric Oncology, Utrecht U.

 Pcsk9遺伝子の機能喪失は、血漿中低比重リポ蛋白コレステロール (LDL-C) 濃度の有意な低下と関連している。CRISPR/Cas9およびCRISPRベースのエディターを介したPcsk9不活性化はいずれも、前臨床モデルにおいて血漿中LDL-CおよびPCSK9レベルの低下に成功している。前臨床試験での有望な結果にもかかわらず、これらの研究では、CRISPRをベースとするPCSK9不活性化因子の導入自体がin vitroまたはex vivoで低比重リポタンパク質受容体のリサイクルにどのような影響を与えたかは報告されていない。

 一方で、細胞外小胞 (EV) は生体適合性の高い担体として有望であり、CRISPR/Cas9-sgRNA RNPはその一過性を介して安全なゲノム編集を媒介することが実証されている。そこで、オランダの研究チームは標題アプローチを検証した。

 ラパマイシン相互作用ヘテロ二量体FK506結合タンパク質(FKBP12)の結合パートナーであるT82L変異型FKBP12-ラパマイシン結合(FRB)ドメインを含むEVを、Cas9タンパク質と融合するように操作した。EV膜上に水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質 (VSVG) を組み込み、マウスの肝細胞にCas9 EVを投与したところ、Pcsk9遺伝子の不活性化が実現し、Pcsk9 mRNAの減少と低比重リポ蛋白受容体およびLDL-Cの取り込みが増加した。このex vivoデータは、動物実験を減らすための一歩となり、Pcsk9を標的としたEVを介したCRISPR/Cas9 RNPデリバリーに関する将来の生体内編集に資することになろう。
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