(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/02/15)
Christopher M. Dobson、Tuomas P. J. Knowles、Michele VendruscoloらCambridge大学、Lund大学ならびにGroningen大学の研究チームは、Aβ凝集過程と低分子の作用機序を化学反応速度論によって定量解析し、T細胞リンパ腫治療剤 bexarotene がAβ凝集体形成の初期段階である前原線維オリゴマー分子種(prefibrillar oligomeric species、POS)の発生を抑制し、アルツハイマー予防薬と成り得ることを見出した.
- [候補低分子の同定] 文献情報から得たAβと相互作用する低分子88種類のフラグメント164種類を手掛かりに、4種類の化合物データベース(ChEMBL、PubChem、ZINCおよびDrugBank)からスクリーニング対象とする16,850低分子を抽出した.その中には、リード化合物候補と成り得る386種類のFDA認可薬が含まれていた.その中から、骨格が異なる2種類の化合物bexarotenとAD治療薬として治験が行われたtramiprosateについて詳細に分析した.
- [Aβ42線維形成過程の分析] Dobson, Knowles, Vendruscoloらは2012年にAβ42線維形成モデルを提唱していた:モノマーからの形成;凝集体からの形成(例 分解);モノマーと凝集体の双方からの形成(例 凝集体表面での線維形成).今回、チオフラビンT(ThT)を蛍光プローブとする観察をもとに化学速度反応論に基づいて、前述の2種類の化合物によるAβ凝集阻害を比較解析.
- [神経芽細胞腫細胞株におけるin vitro 実験]TramiprosateにはAβ42凝集の抑制効果が見られなかった.一方で、bexarotenはAβ42凝集の最も初期の段階に特異的に干渉し、単量体からのオリゴマー形成(nucleation)を抑制することを見出した.
- [In vivo 実験] Bexarotenを早期に投与すると、Aβ蓄積による機能不全を示す線虫モデルGMC101も、Aβを発現していない系統と同等の運動性を示すようになり、ここでもbexarotenの予防効果が実証された.
- [注] コレステロールを低下させて動脈硬化症を予防するスタチンとのアナロジーによる“ニューロスタチン”の表現は研究チームによるもの.
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