[出典] "Programmable RNA base editing with photoactivatable CRISPR-Cas13" Yu J, Shin J, Yu J, Kim J, Yu D, Heo WD. Nat Commun. 2024-01-22. https://doi.org/10.1038/s41467-024-44867-2 [著者所属] KAIST
CRISPR-Cas13は、プログラム可能なRNA干渉、イメージング、RNA編集、CRISPR Dxに広く用いられている。韓国の研究チームは、Cas13をスプリットしたフラグメントペアを化学的または光学的に融合させることで誘導可能なCas13システムを構築した。その中で、光誘導可能なCas13システムを padCas13として報告した。
[引用論文[*] と関連論文/crisp_bio記事]
[詳細]
CRISPR/Casシステムの中でRNAを標的とするCas13をベースとするRNA療法の実現を目指して、さまざまな小型のCas13システムが開発されてきた。こうしたコンパクトなシステムは、遺伝子治療で広く利用されてきたアデノ随伴ウイルス (AAV) ベクターで容易に送達可能であるが、活性を時間的に制御ができないことが臨床応用にあたっての大きな課題の一つである。RNAは本来的にダイナミックな分子であることから、RNAに与える摂動は厳密に制御しなければならないが、これまでのCas13システムではそのような制御機能は備えらていなかった。また、標的されていない制御タンパク質やCas13の構成的な発現が、細胞に想定外の効果をもたらすリスクもある。こうしたCas13療法の課題を解決するアプローチの一つが、時間的制御を持たせることである。最近導入されたアブシジン酸 (ABA) と4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル (DMNB)-ケージドABAを利用した誘導可能なCas13システムは、時間的および光による制御を実現した [*1, *2]。
しかし、
これらの誘導は化学的処理に依存しており、生体内での応用にはさらに複雑なステップを必要とする。一方で、青色光による誘導は、化学物質を追加することなく、はるかに単純な誘導プロセスを辿る。さらに、青色光は紫外線よりも細胞毒性が低いため、より安全で、in vitroや生体内での応用に広く適用できる。本研究では、Cas13タンパク質を戦略的に分割して [Fig.1引用右図参照] そのサイズを小さくし、光誘導可能な制御を組み込むことによって、RNAターゲティングの送達可能性と精度を高めることに成功した。
これらの誘導は化学的処理に依存しており、生体内での応用にはさらに複雑なステップを必要とする。一方で、青色光による誘導は、化学物質を追加することなく、はるかに単純な誘導プロセスを辿る。さらに、青色光は紫外線よりも細胞毒性が低いため、より安全で、in vitroや生体内での応用に広く適用できる。本研究では、Cas13タンパク質を戦略的に分割して [Fig.1引用右図参照] そのサイズを小さくし、光誘導可能な制御を組み込むことによって、RNAターゲティングの送達可能性と精度を高めることに成功した。 本研究において、化学的誘導システムはFKBP-FRB二量体化ドメインとラパマイシンの組み合わせに、光誘導システムはMagnetシステム [*3]と青色光の組み合わせに基づいている。著者らはまず、
立体構造がまた解かれていないPspCas13bタンパク質の最適なスプリットサイト, N351/C350, を、Alphafold2によるin situ再構築プロセスを用いて、同定した。このサイトを選択することで、低いバックグラウンドと高い誘導性を得ることに成功した。 [スプリットサイト同定と化学誘導については先に引用したFig. 1参照;光誘導についてFig. 2引用右図参照]。
立体構造がまた解かれていないPspCas13bタンパク質の最適なスプリットサイト, N351/C350, を、Alphafold2によるin situ再構築プロセスを用いて、同定した。このサイトを選択することで、低いバックグラウンドと高い誘導性を得ることに成功した。 [スプリットサイト同定と化学誘導については先に引用したFig. 1参照;光誘導についてFig. 2引用右図参照]。 光誘導性Cas13bシステムであるpaCas13bを不活性化し、ADAR2 (RNAタイプ2に作用するアデンノシン)またはADAR2から導出したシチジンデアミナーゼを融合し、光によって、それぞれA-to-I変換とC-to-U変換を実現する塩基エディターも構築し、これらをpadCas13エディターと称した [A-to-IとC-to-Uの変換についてそれぞれFig.3とFig. 4引用の下図左右を参照]。 padCas13エディターにより、複数のヒト細胞株とマウス細胞株において、A-to-IおよびC-to-U RNA塩基の編集、疾患に関連する転写産物の標的化、内在性転写産物の微調整を実現した[Fig.5 引用左下図参照]。また、LED青色光の照射によってモデルマウスの肝臓でのA-to-Iを介して蛍光レポーターの発現が上昇することを確認した [Fig. 6引用右下図参照]。
本研究で確立したpaCas13システムは、特定のRNAの機能解析に利用可能であり、また、生細胞において内因性転写産物の正確な制御を可能にする。また、paCas13のフラグメントは、AAVを介した送達に伴っていた課題を解決し、paCas13システムの治療への適用可能性を高めている。プログラム可能なエピトランスクリプトーム操作を可能にするその可能性は、将来の治療応用を促進するはずである。
本研究で確立したpaCas13システムは、特定のRNAの機能解析に利用可能であり、また、生細胞において内因性転写産物の正確な制御を可能にする。また、paCas13のフラグメントは、AAVを介した送達に伴っていた課題を解決し、paCas13システムの治療への適用可能性を高めている。プログラム可能なエピトランスクリプトーム操作を可能にするその可能性は、将来の治療応用を促進するはずである。
[引用論文[*] と関連論文/crisp_bio記事]
- [*] "A Split CRISPR/Cas13b System for Conditional RNA Regulation and Editing" Xu Y [..] Liang FS. J Am Chem Soc 2023-02-22;crisp_bio 2023-02-28 スプリット型CRISPR/Cas13bシステムによる条件付きRNA制御・編集. ;
- [*] RNA N6-メチルアデノシンの可逆的編集を化学的に誘導する "Inducible and reversible RNA N6-methyladenosine editing" Shi H, Xu Y, Tian N, Yang M, Liang FS. Nat Commun. 2022-04-12. [著者所属] Case Western Reserve U;N6-メチルアデノシン(m6A)を含むRNA修飾は、基本的なRNAプロセスや特性を制御することが報告されており、様々なヒト疾患と直接的に関連している。
これらのエピジェネティック修飾の動的かつ文脈依存的な機能を解明するためには、特定のRNA修飾を時間的かつ転写産物/遺伝子座特異的に編集する方法が不可欠であるが、まだ限られている。著者らは、化学的誘導近接法 (CIP)とCRISPR (dCas13b-PYL)を組み合わせることで、化学的に可逆的な誘導が可能なRNA m6A修飾編集プラットフォームを開発した [Fig. 1引用右図参照]。CIP誘導物質であるアブシジン酸 (ABA) の添加・除去により、個々のRNA転写産物の特定部位でm6A編集を時間的に制御できることを示す。光ケージABAを組み込むことで、光による制御も可能になる 。 - [*] "A split CRISPR–Cpf1 platform for inducible genome editing and gene activation" Nihongaki Y, Otabe T, Ueda Y, Sato M. Nat Chem Biol 2019-08-12.
- crisp_bio 2020-07-01 m6Aエディター: Cas13の特徴を活かして、ヒト細胞核内・細胞質内・部位特異的RNAメチル化 (TRM)




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