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[出典] "scPerturb: harmonized single-cell perturbation dataPeidli S [..] Luna A, Blüthgen N, Sander C. Nat Methods. 2024-01-26. https://doi.org/10.1038/s41592-023-02144-y [著者所属] Institute of Pathology (Charité – Universitätsmedizin Berlin), Humboldt-Universität, Harvard Medical School, Dana-Farber Cancer Institute, Broad Institute, Relation Therapeutics (London), U Edinburgh, NCI/NIH

 単一細胞になんらかの摂動を加えた実験に由来するデータセットが増え続いている。しかし、データセット間の相互運用性が低いため、それらを統合的に解析するに至っていない。独・米・英の研究チームが、そうした統合解析を実現する計算手法の開発とベンチマークを容易にするために、トランスクリプトミクス、プロテオミクス、エピゲノミクスを含む分子リードアウトを持つ、25件の論文から一般に公開されている44の単一細胞の摂動-応答 (single-cell perturbation - response) データセットを収集した上で、同一の品質管理パイプラインを適用し、各データセットのアノテーションをハーモナイズした。

 こうして得られた情報資源scPerturbは、計算手法の開発と評価を可能にし、データセット間の比較と統合を容易にする。論文では、摂動が及ぼす効果の定量化と有意性検定のためのエネルギー統計 (energy statistics: E-statistics) 、単一細胞の発現プロファイルセット間の一般的な距離尺度としてのE-distance、摂動の類似性と有効性を定量化するためのE-statisticsの応用E-testが説明され、データセットやモダリティを横断して摂動を区別するための頑健性と適用性のベンチマークも提示されている。また、単一細胞E-statisticsのパッケージのPython (PyPI: scperturb) 版とR (CRAN: scperturbR) がscPerturbのWebサイトから公開されている。


 単一細胞に対する異なるモードの摂動は、遺伝子発現とタンパク質産生の階層の異なる層に作用する。scPerturbに含まれる摂動には、ゲノムを直接改変するCRISPR-cas9、標的遺伝子の転写を活性化するCRISPRa、標的遺伝子の転写を阻害するCRISPRi、標的mRNAを切断して分解を促進するCRISPR-cas13、細胞表面レセプターに結合するサイトカイン、様々な細胞機構を摂動する低分子などがある。scATAC-seqはクロマチン状態を直接プローブし、scRNA-seqはmRNAを測定し、タンパク質カウントデータは通常タンパク質に結合した抗体を介して得られる (CITE-seq (Nat Methods, 2017)とREAP-seq (Nat biotechnol, 2017)) 。

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