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[注]  CBASS (cyclic oligonucleotide-based antiphage signaling system)
[出典]
  • 論文 "Bacterial cGAS senses a viral RNA to initiate immunity" Banh DV, Roberts CG [..] Marraffini LA. Nature 2023-11-15. https://doi.org/10.1038/s41586-023-06743-9 [著者所属] Rockefeller U, Weill Cornell/Rockefeller/Sloan Kettering Tri-Institutional MD-PhD Program, Emory U.
  • Research Briefing "A viral RNA molecule activates the bacterial immune system during infection" Banh DV, Roberts CG. Nature 2023-11-15. https://doi.org/10.1038/d41586-023-03364-0
 環状ヌクレオチドに基づく免疫応答は、シクラーゼがウイルス感染を感知してセカンドメッセンジャーの合成を開始する過程に依存している。この過程は、ヒトcGAS (cyclic GMP-AMP synthase)の場合は、細胞質に存在するウイルス由来の二本鎖DNAとの直接相互作用によって達成されることが知られている。また、動物に存在する他のcGASホモログは、DNAの代わりにRNAを感知することも知られている。一方で、細菌のファージ防御システムCBASSにおけるシクラーゼ活性化のメカニズムはよくわかっていない。

 多様なCBASSオペロンに由来する細菌シクラーゼの生化学的解析から、これらの酵素のいくつかはin vitroでは構成的に活性であることが、in vivoでは活性は負に制御されておりファージ認識時にのみ解放されることが示唆されている。逆に、in vitroでは不活性なCBASSシクラーゼの例も多く、免疫応答を開始するにはシクラーゼを活性化する機構が必要である。CRISPRシステムの研究でもよく知られているロックフェラー大学のLuciano A. Marraffiniが率いる研究チームは今回ブドウ球菌におけるI型CBASSサイクラーゼの活性化機構をシステマティックに解析した。

 研究チームは、CRISPR-Casシステムを研究するモデルとして研究対象としてきた多くのブドウ球菌の中で、Staphylococcus schleiferi をモデルとしてCBASSシクラーゼの特徴を明らかにすることを選択した。

 感染時にS. schleiferiのファージがin vivoで発現すると、CBASSはファージの増殖を阻害した。注目すべきことに、いくつかのファージ株はCBASSに感受性であったが、他の株は耐性であった。いくつかのシクラーゼは構成的活性を持ち、シグナル分子を自発的に産生するが、研究チームがアッセイした既知のほとんどのシクラーゼは、in vitroでは不活性であった。

 CBASSのリガンドを同定するため、細菌宿主とCBASS感受性バクテリオファージ株の両方から得たDNA、RNA、タンパク質をスクリーニングしたRNA [Research Briefing Fgire 1引用右図 a 参照]。その結果、シクラーゼは、RNAとの共インキュベーションでのみ、cGAMPを合成することを見出した。

 次に、シクラーゼと相互作用している特定のRNA分子を単離するため、ファージ感染細胞からすべてのRNAを抽出し、精製シクラーゼに曝露して、シクラーゼと最も強く結合するRNA分子を捕捉した。その結果、CBASSに感受性のあるファージ株では産生されるが、CBASSに耐性のある株では産生されない単一のRNA分子が単離された [挿入図 b 参照]。このRNA分子はin vitroでシクラーゼを活性化するのに十分であったことから、研究チームはこれをCBASS活性化ファージRNA (CBASS-activating bacteriophage: cabRNA) と命名した。

 CBASS感受性ファージから単離されたcabRNA分子のRNA配列決定から、cabRNAの配列は、ファージゲノムをウイルス粒子にパッケージングする役割を担う必須タンパク質複合体であるターミナーゼをコードする2つの遺伝子を含むゲノムの領域にマッピングされていることが示された。

  2024-01-30 13.06.47cabRNAの二次構造をコンピューターで予測した結果、二本鎖領域を持つ複数のヘアピンを含む高度に組織化された分子であり、また、cabRNAがシクラーゼ上の正電荷を帯びた表面に結合し、cGAMP合成を刺激する可能性が高いことを示した [原著論文 Fig.4 引用右図参照]。

 遺伝子工学と化学的変異導入により作製した免疫原性のcabRNAを産生しないウイルス変異体は、in vitroではシクラーゼの活性化を回避し、in vivoではCBASS免疫を回避することも確認した。

 最後に、進化的に分岐した他のファージや、異なる系統クラスターに属する別のブドウ球菌シクラーゼに対するcabRNAの応答を観察した。

今後の方向性

 本研究から、いくつかのcGAS様細菌サイクラーゼCBASSは、特定の構造化されたウイルス由来のRNAに結合することで感染を感知するように進化してきたことが明らかになった。これは、哺乳類のウイルス感知過程、細胞質内という位置情報に基づいてウイルスに対するcGASが応答する過程、とは異なるが、核酸に基づく抗ウイルス防御経路の活性化が、生命のあらゆる領域にわたって保存されていることを示すエビデンスになった。

 しかし、感染時にcabRNAがどのように生成されるのか、またバクテリオファージの複製サイクルにおけるcabRNAの正常な役割については、いまだ不明な点が多い。さらに、CBASSシクラーゼがかなり多様であることから、ウイルスRNA認識以外の活性化様式も存在すると考えられ、その発見が待たれる。

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