1. COVID-19患者において生物学的老化が加速する
[出典] "Accelerated biological aging in COVID-19 patients" Cao X [..] Yu H. Nat Commun. 2022-04-19. https://doi.org/10.1038/s41467-022-29801-8 [所属] Guizhou Provincial People’s Hospital, Sun Yat-sen U, Thermo Fisher Scientific Inc, U Arizona, Chongqing Medical U, Josep Carreras Leukaemia Research Institute, Bellvitge Biomedical Research Institute, Center for Biomedical Research on Rare Diseases, Institucio Catalana de Recerca i Estudis Avancats, Centro de Investigación Biomédica en Red de Cancer, U Barcelona.
年齢 (chronological age)は、SARS-CoV-2感染と重症COVID-19の危険因子である。これまでに、ウイルス感染によってエピジェネティックな年齢が変化する可能性が報告されてきた。しかし、サーズウイルス2におけるエピジェネティックな老化については十分に研究されていない。
中国とスペインに米国が加わった研究チームが今回、健常人232人とCOVID-19患者413人の血液サンプルのDNAメチル化をIllumina Infinium MethylationEPIC Beadchip (EPICアレイ)を利用してプロファイリングした。各個人のメチル化プロファイルにエピジェネティック時計 (epigenetic clocks)とテロメア長空いて法を適用して、各個人のエピジェネティック年齢を決定し、エピジェネティック年齢の加速度を計算し、グループ間で比較した。
比較解析の結果、
エピジェネティック時計と個人の年齢との間に強い相関が見られた (r > 0.8, p < 0.0001)。また、健常人から非重症COVID-19患者そして重症COVID-19患者へと、エピジェネティックな老化とテロメアの短縮が加速していた [Fig.2引用右図参照]。さらに、DNAメチル化の縦断的プロファイリング解析により、COVID-19によるDNAメチル化の蓄積が、一部の患者では診療後期に部分的に逆転する可能性があることを見致した。
エピジェネティック時計と個人の年齢との間に強い相関が見られた (r > 0.8, p < 0.0001)。また、健常人から非重症COVID-19患者そして重症COVID-19患者へと、エピジェネティックな老化とテロメアの短縮が加速していた [Fig.2引用右図参照]。さらに、DNAメチル化の縦断的プロファイリング解析により、COVID-19によるDNAメチル化の蓄積が、一部の患者では診療後期に部分的に逆転する可能性があることを見致した。 結論として、エピジェネティック老化の促進は、SARS-CoV-2感染および重症COVID-19発症のリスクと関連している。さらに、COVID-19によるエピジェネティックな老化の蓄積は、生存者におけるCOVID-19後遺症の一因となる可能性がある。
2. COVID-19重症者の脳では老化が加速する
[出典] "Severe COVID-19 is associated with molecular signatures of aging in the human brain" Mavrikaki M, Lee JD, Solomon IH, Slack FJ. Nat Aging. 2022-12-05. https://doi.org/10.1038/s43587-022-00321-w [所属] Harvard Medical School (Beth Israel Deaconess Medical Center, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School Initiative for RNA Medicine)
COVID-19は、しばしば神経学的後遺症を伴う急性呼吸器疾患である。重症のCOVID-19を発症した患者は、平均10年で認知機能の低下を示し、老化が加速される。神経画像と認知機能スクリーニングを組み合わせた研究では、認知機能にとって重要な領域である前頭皮質がによって障害されることが示唆されているが、脳における老化の分子学的エビデンスは不足している。ハーバードメディカルスクールの研究チームは今回、COVID-19が老化と同様の分子シグネチャーをもたらすとする仮説をたて、その検証を試みた。
具体的には、認知機能にとって重要な脳の領域である前頭皮質のトランスクリプトーム解析 (RNA-seq解析) を、死後のサンプル54個について行った。このサンプルは、重度のCOVID-19感染者21名(神経学的既往歴としてアルツハイマー病 1名と, てんかん 1名、ならびに無症状者1名が含む)の集団と、対照群として、 年齢(±2歳)および性別を一致させ神経学的または精神医学的疾患の既往のない22人の非感染者の集団、年齢および性別を一致させたアルツハイマー病の非感染者およびICUまたは人工呼吸器治療の既往のある9人の非感染者の集団に由来する。今回の解析は従来の解析に比べると、比較的大規模なコホート、背景を一致させた対照群や、重症感染者と同じようにICU/人工呼吸器治療を受けた非感染者を加えたことに、特徴がある。
今回の解析の結果、COVID-19が脳の老化の分子的シグナチャーと関連することが明らかになり、COVID-19患者において観察された老化および認知機能低下に関連した遺伝子発現の変化が、認知機能低下率の上昇につながる可能性が示唆された。さらに、こうした
遺伝子発現の変化が部分的に、循環するサイトカインファミリーTNFおよびI/II型インターフェロンによる可能性があることが示唆された。
こうした知見に基づいて、COVID-19回復者の神経学的フォローアップを提唱した。
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