[出典]
- 投稿 "Google Scholar is manipulatable" Ibrahim H, Liu F, Zaki Y, Rahwan T. arXiv 2024-02-07 (preprint). https://doi.org/10.48550/arXiv.2402.04607
- NEWS "Vendor offering citations for purchase is latest bad actor in scholarly publishing - Unscrupulous researchers have many options for gaming citations metrics, new study highlights" Langin K (Associate editor for Science Careers). Science 2024-02-12. https://doi.org/10.1126/science.zk7dou0 [所属] New York University (NYU) Abu Dhabi, NYU.
科学者の評価に被引用件数が利用されている。これまでに、自己引用や引用カルテルについて報告されてきたが、著者らは今回、"citation-boosting service"が登場していたことを報告した。
[詳細]
Google Scholarの約160万人のプロファイルのデータセットを作成し、同プラットフォームにおける引用不正の事例を調査した。その中で、まず、高ランク大学の教員を対象にした分析で、実際に、Google Scholarが科学者を評価する際に広く利用されていることを確認した。
ニューヨーク大学の研究チームは調査の過程で、実在する研究者のプロファイルに奇妙な現象があることを発見した。少なくとも10件の論文と200件の被引用件数がある著者を調べた結果、1年間で被引用が10倍になった研究者を1,016人特定した。この被引用数が突然急増した研究者の中には、単一の論文から18回以上引用されている論文の著者が114人含まれ、その論文の参考文献の多くが、品質が低い出版物であり、本文中で引用されていない文献さえ含まれていた。研究チームはさらに、著者の一人が、ResearchGateのアカウントで維持されている論文から多数の引用を受けていること、そして、そのアカウントが引用を'盛る'サービス (citation-boosting service) を公然と宣伝してることを、発見した。
こうした発見から、研究チームは、架空の大学の架空の研究者としてGoogle Sholarのプロファイルを用意し、相互引用そしてまたは架空の文献を引用した論文20編をChatGPTで生成し3種類のプレプリントサーバー (Auhorea, OSF, およびResearchGate) に投稿したところ、Google Scholarのプロファイルには380件に被引用件数、h-index 19、設定した研究分野で被引用数ランク 36位と、表示されるに至った。さらに、引用購入サービスが存在することに気づき、架空の著者としてそのサービスに接触し、実際に50件の引用を購入することに成功した。
これらの調査結果は、評価の視野を、被引用件数から広げることが必要なことを明らかにした。
[関連crisp_bio記事]
- [20240215更新] フェイク論文による研究社会の汚染を阻止するために行動する時が来た
コメント