[注] eIF4G (eukaryotic translation initiation factor 4 G / 真核生物の翻訳開始因G )
[出典] "Development and Application of the CRISPR-dcas13d-eIF4G Translational Regulatory System to Inhibit Ferroptosis in Calcium Oxalate Crystal-Induced Kidney Injury" He Z [..] Yang S, Liu Y. Adv Sci (Weinh). 2024-02-21. https://doi.org/10.1002/advs.202309234 [所属] Renmin Hospital of Wuhan U, Zhongnan Hospital of Wuhan U, Shenzhen U

 CRISPR-Casシステムは、当初はDNAレベルの遺伝子編集と転写制御のためのものであったが、RfxCas13dを筆頭とするCas13dファミリーによってRNAターゲティングへと拡大した。この進展により、特に触媒活性を不活性化したdCas13dを利用することで、高い特異性でのmRNAターゲティングが可能となり、翻訳レベルでの制御の幅が広がった。

 中国の研究チームは今回、CRISPR-dCas13deIF4Gを融合したモジュールを導入することで、転写過程を改変することなく、標的mRNAのタンパク質への翻訳レベルを選択的に向上させ、関心のあるタンパク質の発現レベルを顕著に上げることに、成功した。

 このシステムの実証実験において、フェロトーシスに関連したGPX4遺伝子を標的とすることで、ヒト腎細胞およびマウス腎組織においてGPX4のタンパク質発現がアップレギュレートされ、フェロトーシスに抗し、シュウ酸カルシウムが誘発する細胞損傷に抗し、結石形成が緩和されることを、確認した。

 本研究は、CRISPR-dCas13d-eIF4Gシステムの真核細胞における有効性を証明し、新規なタンパク質翻訳研究アプローチと腎結石症治療の進歩の可能性を提示するものである。