[出典] "Therapeutic targeting Tudor domains in leukemia via CRISPR-Scan Assisted Drug Discovery" Chan AKN [..] Chen CW. Sci Adv 2024-02-23. https://doi.org/10.1126/sciadv.adk3127
[所属] Beckman Research Institute (City of Hope), City of Hope Comprehensive Cancer Center, China Medical U, Duke U School of Medicine, Dana-Farber Cancer Institute, Dartmouth College, Yale Cancer Center, Lerner Research Institute (Cleveland Clinic)
[所属] Beckman Research Institute (City of Hope), City of Hope Comprehensive Cancer Center, China Medical U, Duke U School of Medicine, Dana-Farber Cancer Institute, Dartmouth College, Yale Cancer Center, Lerner Research Institute (Cleveland Clinic)
白血病を含む多くの癌で、エピジェネティックな制御異常が報告されている。それにもかかわらず、白血病の進行と治療に向けて、白血病におけるエピジェネティック・リーダーであるチューダー (Tudor)ドメインの役割が解明されていない。
米国の研究チームは今回、まずチューダードメインに絞ったCRISPR-Cas9スクリーニングを行い、その結果、SAGA/ATACアセチルトランスフェラーゼ複合体の構成要素であるSGF29が、H3K9アセチル化、リボソーム遺伝子発現、白血病発症に重要な因子であることを同定した。
次に、この発見を創薬に繋げることを目指して、CRISPRタイリング・スクリーンと化合物ドッキングおよび分子動力学シミュレーションを統合したCRISPR-SADD (CRISPR-Scan Assisted Drug Discovery) と称する手法を開発した。この手法を用いて、SGF29のチューダードメイン内の部位を標的とする白血病に対して有効性を示すリード阻害剤を同定した。こうした結果を受けて、研究チームは本研究で用いた構造遺伝学的アプローチが、de novo創薬のための多様な分野に広く応用できることを提案した。
[詳細]
白血病は、造血幹細胞・前駆細胞 (HSPCs) のアグレッシブな増殖と成熟不全を特徴とする悪性血液疾患の一種である。白血病の5年生存率は〜1960年の14%から〜2010年には60%以上に改善されたが、急性骨髄性白血病 (AML;全生存率25%未満) や急性リンパ芽球性白血病 (ALL;特にKMT2A (MLL ) 再配列亜型;成人患者の全生存率20%未満) のような、より悪性度の高い亜型の全生存率は驚くほど低いままであり、強く新規レジメンが求められている。ここで、エピジェネティックな異常が血液系を含む複数の悪性腫瘍で報告されていることに注目すし、エピジェネティックの機構を標的とするより効果的な治療法の可能性を追究した。
チューダードメインは、クロマチン修飾、特にメチル化されたリジン (K) とアルギニン (R) を認識するエピジェネティック・リーダー・モジュールである。チューダー・ドメインを含むタンパク質は、特定のヒストン尾部の部位におけるでヒストン・メチル化に結合し、それによってエピジェネティックコードの解釈と遺伝子発現の制御を可能にする。チューダー・ドメインは3次元構造を取っているタンパク質モジュールであり、2つのチロシン(Y)と1つのフェニルアラニン(F)残基で定義される「芳香族ケージ / aromatic cage」を介して、標的部位と相互作用する。異なるチューダードメインによって認識される選択的なクロマチンマークは、創薬の標的として魅力的なポケットであるが、白血病におけるチューダー・ドメインの役割や治療標的としての可能性については、まだ十分に研究されていない。
本研究では、チューダー・ドメインに焦点を当てた偏りのないCRISPR-Cas9ライブラリー・スクリーニング [*]を行い [Fig. 1引用右図参照], 白血病の発症と維持の必須因子として、Spt-Ada-Gcn5アセチルトランスフェラーゼ (SAGA) 関連因子29 (SGF29;CCDC101としても知られる) を同定した。[*] 59個のチューダー・ドメインを標的とする992個のsgRNAsのライブラリーを使用
ヒストンプロテオミクス、エピジェネティクス、トランスクリプトミクスのプロファイリングを介して、SGF29が、SAGA/Ada-Two-A含有 (ATAC) 複合体のクロマチンH3K4me3リーダーであり、KAT2A/Bを介したヒストンH3K9アセチル化の維持に必須であることが、明らかになった。また、高密度CRISPRタイリング・スクリーンをベースとするCRISPR-SADDと命名したコンピューター支援型創薬ワークフローを開発した。このパイプラインにより、SGF29のTudor 2ドメインを標的とする最初のリード阻害剤を同定した。
[CRISPR-SADDの手法]
MLL-AF9-Cas9+白血病細胞において、内因性Sgf29 のエクソン内のすべてのNGG PAM配列を標的とする147個のsgRNAsプールを用いて、高密度なCRISPR遺伝子タイリング・スクリーンを行った
[Fig. 5引用右図 A参照]。正規化CRISPRスコア (NCS) の局所平滑化モデリングに基づき、SGF29のC末端タンデムチューダードメイン (TTD) 領域に対する白血病細胞の依存性を明らかにした [挿入図 B の青破線枠参照]。次に、SGF29-TTDの結晶構造[挿入図 Cの赤破線枠参照;PDB ID 3ME9;1.37Å分解能]に平滑化NCSをマッピングすることにより、3D CRISPR-Scanを行った。この高分解能の構造/遺伝子解析により、白血病細胞の生存にTudor2芳香族ケージが必須であることが明らかになった。さらに、PrankWebサーバーを用いて、小分子による結合に適した表面領域を予測し、SGF29-TTDの3D CRISPR-Scanモデルとオーバーラップさせて、薬剤による標的が可能なCRISPR感受性性表面領域を決定した [挿入図 D 参照]。次に、AutoDock Vinaを使用して、約 160 万の多様な化合物(ZINC15 化合物データベースから選択) を CRISPR/PrankWeb で定義された「ドッキングボックス」にドッキングさせ、予測結合自由エネル ギー(ΔG°)≦-9.4 kJ/mol を示した上位 190 化合物を同定した。
[Fig. 5引用右図 A参照]。正規化CRISPRスコア (NCS) の局所平滑化モデリングに基づき、SGF29のC末端タンデムチューダードメイン (TTD) 領域に対する白血病細胞の依存性を明らかにした [挿入図 B の青破線枠参照]。次に、SGF29-TTDの結晶構造[挿入図 Cの赤破線枠参照;PDB ID 3ME9;1.37Å分解能]に平滑化NCSをマッピングすることにより、3D CRISPR-Scanを行った。この高分解能の構造/遺伝子解析により、白血病細胞の生存にTudor2芳香族ケージが必須であることが明らかになった。さらに、PrankWebサーバーを用いて、小分子による結合に適した表面領域を予測し、SGF29-TTDの3D CRISPR-Scanモデルとオーバーラップさせて、薬剤による標的が可能なCRISPR感受性性表面領域を決定した [挿入図 D 参照]。次に、AutoDock Vinaを使用して、約 160 万の多様な化合物(ZINC15 化合物データベースから選択) を CRISPR/PrankWeb で定義された「ドッキングボックス」にドッキングさせ、予測結合自由エネル ギー(ΔG°)≦-9.4 kJ/mol を示した上位 190 化合物を同定した。
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