[出典] "Cbp1 and Cren7 form chromatin-like structures that ensure efficient transcription of long CRISPR arrays" Fabian Blombach F [..] Werner F. Nat Commun. 2024-02-22. https://doi.org/10.1038/s41467-024-45728-8 [所属] U College London, Shandong U, Institut Pasteur (U Paris Cité)

 バクテリアとアーケアのゲノムに見られるCRISPRアレイは、多くの場合ATリッチでファージ由来の外来DNAをスペーサーとして組み込むことにより、CRISPR適応免疫システムの物理的記憶を形成している。TATA-boxのようなプロモーター・エレメントはATリッチであるため、CRISPRアレイには潜在性 (cryptic) プロモーターが存在しやすい。

 バクテリアとアーケアのゲノムに見られるCRISPRアレイは、多くの場合ATリッチでファージ由来の外来DNAをスペーサーとして組み込むことにより、CRISPR適応免疫システムの物理的記憶を形成している。このCRISPRアレイの転写によりプレcrRNAが産生され、それがさらにプロセッシングされて、単一のスペーサー・リピートのユニットを含むcrRNAユニットになる。

 ここでCRISPRアレイは、多くの場合ATリッチでファージ由来の外来DNAをスペーサーとして組み込むんでいるが、TATA-boxのようなプロモーター・エレメントはATリッチであるため、CRISPRアレイにはしかるべき転写を擾乱する可能性がある潜在性 (cryptic) プロモーターが存在しやすい。

 クレンアーケア超好熱性スルフォロブス目のメンバーは、しばしば100以上のスペーサーにまたがる複数のCRISPRアレイを持ち、その結果、数キロ塩基長のプレcrRNAを形成する。このCRISPRアレイの異常な長さは、スルフォロブス目のメンバーには、CRISPRアレイのリピート配列に結合するCRISPRアレイに結合するタンパク質である Cbp1 (CRISPR array binding protein 1)が伴っていることと符合するが、Cbp1の作用機序は不明であった。英・仏・中の研究チームは今回、Cbp1の宿主ゲノムへの結合パターンをゲノムワイドかつヌクレオチド分解能で解析し、Cbp1の分子機序モデルを提唱するに至ったCbp1 and Cren7 6 [Fig. 6引用右図参照]
Cbp1はCren7をCRISPRリピートの3'末端に直接リクルートし、Cren7と"キメラ"クロマチン様構造を形成する。
Cbp1はこうしてCRISPRリーダー・プロモーターからの転写を促進する一方で、スペーサー内の潜在性プロモーターからの転写開始を抑制する (CRISPRアレイの5'末端側のもっとも最近獲得したスペーサが存在する領域からの転写を促進する一方で、長いCRISPRアレイの先の3’末端に向かってはCbp1が多数結合することで転写をブロックするシナリオが考えられる)。
Cpf1はCRISPRアレイのリーダーにもトランスポザーゼにも結合することから、Cbp1はCRISPR-Cas防御システムと移動性遺伝要素をつなぐ、より広範な制御機能を持つことが示唆される。

[スルフォロブス目CRISPR-Casシステム関連crisp_bio記事]