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[出典] "Orthogonal inducible control of Cas13 circuits enables programmable RNA regulation in mammalian cells" Ding Y, Tous C, Choi J, Chen J, Wong WW. Nat Commun. 2024-02-21. https://doi.org/10.1038/s41467-024-45795-x [所属] Boston U

 RNAは哺乳類の細胞機能に不可欠である。ガイドRNAに誘導されて標的RNAを分解するリボヌクレアーゼの一種であるCas13は、コーディングRNAとノンコーディングRNAの双方をこれまでになく柔軟に改変・制御可能であり、新たな細胞機能を生み出す大きな可能性を秘めている。しかし、実際に細胞工学のツールとして活かしていくためには、その活性の制御が課題となっていた。今回、ボストン大学の医用生体工学 (biomedical engineering) 部門の研究チームが、CRISTAL (Control of RNA with Inducible SpliT CAs13 Orthologs and Exogenous Ligands) と称するプラットフォームを開発し、その課題を解決した。

 Cas13 circuit 1研究チームはCas13活性を制御するために、低分子による二量体化を介して活性を発揮させるアプローチをとり、複数のCas13タンパク質 (Cas13a, Cas13b, およびCas13d) 内の分割部位を系統的に評価した [Fig. 1引用右図 A 参照]。この誘導可能な二量体化アプローチは、即効性があり、調整可能で、可逆的で、拡張性があり、細胞タイプや状態に依存せず、転写制御や翻訳後制御などの他の制御様式と組み合わせることができるため、エフェクター機能を制御する他の手段よりも有利である。いくつかのヘテロ二量化システムとCas13オルソログを組み合わせ、毒性の無い植物ホルモンやFDA認可の薬物を用いて、大量に発現させた導入遺伝子に対して、in vitroでは78%まで、マウスでは98%まで、タンパク質レベルで効率的にノックダウンする10種類の化学誘導可能なシステムを構築した。

 CRISTALと命名したCas13プラットフォームの多用途性を示すために、外因性低分子と内因性経路活性化シグナルの両方が存在する場合にのみRNA転写物を切断するAND回路を実装した。また、マルチプレックスおよびデマルチプレックス制御に適用し、2つの直交誘導可能なCas13エフェクターを利用したインコヒーレントなフィード・フォワード・ループを実装し、ほぼ完璧で調整可能な適応反応を作り出すことに成功した。CRISTALの出力は導入遺伝子から内因性遺伝子に簡単に切り替えられることから、CRISTALによって内因性トランスクリプトームに複雑な制御を加え流ことが可能である。Cas13 circuit 6最後に、マウスにおいて、直交的に制御された多重RNAノックダウンを達成し、CRISTALの多用途性と可能性をさらに実証した [先の挿入図 B とFig. 6引用右図参照]

 CRISTALは、RNAのダイナミクスを精密に制御する強力なプラットフォームであり、細胞工学の進展とRNA生物学の解明に貢献する。
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