26ヶ国が参加しているGlobal Vaccine Data Networkの枠組みにおいて2021年に設立された多国籍プロジェクトGlobal COVID Vaccine Safety (GCoVS)が、COVID-19ワクチン接種後の特に注目すべき有害事象 (Adverse events of special interest: AESI) の分析結果を発表
[出典]
GCoVSに参加した8ヶ国11施設 (日本は参加していない) 観察コホート研究では、共通のプロトコールを用いて、神経学的、血液学的、心臓学的転帰にわたる13種類のAESIについて、予想されていた発生率と観察された発生率を比較した。予想発生率 (期待値) は、年齢と性別で層別化したCOVID-19ワクチン接種前の医療データを用いて参加施設が算出した。一次解析では、アデノウイルスベクターワクチン (ChAdOx1)と、mRNAワクチン (BNT162b2およびmRNA-1273) の接種後42日までに発生したAESIを対象とした [右図はTable 2から引用した接種されたワクチン一覧]。リスクは、95%信頼区間を有する観察対期待比 (OE比) で評価した。
[結果]
[出典]
- 論文 "COVID-19 vaccines and adverse events of special interest: A multinational Global Vaccine Data Network (GVDN) cohort study of 99 million vaccinated individuals" Faksova K, Walsh D, Jiang Y et al. Vaccine. 2024-02-12. https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2024.01.100
- ニュース "Largest COVID Vaccine Study Ever Reveals The Actual Health Risks You Face" Dyer R. Science Alert 2024-02-22. https://www.sciencealert.com/largest-covid-vaccine-study-ever-reveals-the-actual-health-risks-you-face
[手法]
GCoVSに参加した8ヶ国11施設 (日本は参加していない) 観察コホート研究では、共通のプロトコールを用いて、神経学的、血液学的、心臓学的転帰にわたる13種類のAESIについて、予想されていた発生率と観察された発生率を比較した。予想発生率 (期待値) は、年齢と性別で層別化したCOVID-19ワクチン接種前の医療データを用いて参加施設が算出した。一次解析では、アデノウイルスベクターワクチン (ChAdOx1)と、mRNAワクチン (BNT162b2およびmRNA-1273) の接種後42日までに発生したAESIを対象とした [右図はTable 2から引用した接種されたワクチン一覧]。リスクは、95%信頼区間を有する観察対期待比 (OE比) で評価した。[結果]
ワクチン接種を受けた99,068,901人が参加し、ワクチンごとの接種回数は、ChAdOx1が23,093,399回、BNT162b2が183,559,462回、mRNA-1273が36,178,442回であった。以下、心臓のAESI、血管系のAESI、および脳神経系のAESIのリスクを、Table 5, Table 4, およびTable 3を引用しながら見ていく。なお、これらの表でOE比の数値に応じてセルの背景色が三段階に色分けされている:OE比が1.5を超える場合は赤、OE比が 1を超えかつ 1.5以下は黄、OE比が1.0以下は緑
[まとめ]
ワクチン接種後42日目までの発症リスクは、血管系と脳神経系では概ね健常者と同様であるが、AESIの中には、事前に報告されたよりも高リスクな例や、今回の大規模調査で初めてリスクが明らかになった例もあった。
一方で、事前の臨床試験に加えて、ワクチン接種開始後の疫学的研究から、ワクチンが重症化やロングCOVIDを抑制するというエビデンスが多数報告されており、ワクチン接種のメリットはリスクを上回ること見られる。最近の研究 [The HDR UK COALESCE Consortium, 2024]によれば、英国内のすべての人がワクチンを完全に接種していれば、COVID-19による重篤な結果(死亡を含む)40,393件のうち約7,180件を回避できたとされている。
右表の一連の赤色セルにあるように、mRNAワクチン (BNT162b2, mRNA-1273)を接種した後に心筋炎が発生するリスクが高く、モデナ社のワクチンを2回接種した後にそのリスクが最も高くなっていた。また、mRNAワクチンの初回投与後、心膜炎のリスクは予想より1.7倍高く、4回目の投与で2.6倍になった。
ChAdOx1の初回投与後、CVST/脳静脈洞血栓症のリスクが上昇しているが、予想された21件に対し、3.2倍の69件が観察された。このリスクはファイザー社製ワクチンの初回投与後では1.49倍、2回目投与後では1.25倍であった。
ウイルスベクターワクチンであるChAdOx1の場合に、ギラン・バレー症候群の症例が統計的に有意に増加した。これらのワクチンを接種したグループでは、66例が予想されていたが190例が観察された。mRNAワクチンではこのような増加は見られなかった。
[まとめ]
ワクチン接種後42日目までの発症リスクは、血管系と脳神経系では概ね健常者と同様であるが、AESIの中には、事前に報告されたよりも高リスクな例や、今回の大規模調査で初めてリスクが明らかになった例もあった。
一方で、事前の臨床試験に加えて、ワクチン接種開始後の疫学的研究から、ワクチンが重症化やロングCOVIDを抑制するというエビデンスが多数報告されており、ワクチン接種のメリットはリスクを上回ること見られる。最近の研究 [The HDR UK COALESCE Consortium, 2024]によれば、英国内のすべての人がワクチンを完全に接種していれば、COVID-19による重篤な結果(死亡を含む)40,393件のうち約7,180件を回避できたとされている。



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