- マイクロ・ナノプラスチックはアテロームおよび心血管イベントと相関する
[出典] "Microplastics and Nanoplastics in Atheromas and Cardiovascular Events" Marfella R, Prattichizzo F, Sardu C et al. N Engl J Med. 2024-03-07. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2309822 [所属] U Campania Luigi Vanvitelli, Azienda Sanitaria Locale Napoli 2 Nord, Hospital Cardarelli, Ospedale del Mare Azienda Sanitaria Locale Napoli 1, Environmental Technologies, U Federico II, RCCS MultiMedicaなど
[注] 昨年からプラスチック製品の分別収集がcrisp_bioの居住自治体でも始まり、いわゆるプラスチック製品以外にも胃薬やキャンディーの個包装や缶やビンのラベルなど、身の回りにプラスチックが溢れており、1週間で大量に貯まることに、気づいていたところで、この論文に行き合った。
マイクロプラスチックやナノプラスチック (以下、MNP) は、前臨床試験において心血管疾患の潜在的な危険因子として浮上してきた。University of Campania "Luigi Vanvitelli"をはじめとするイタリアの研究機関にベルギーと米国の研究機関が加わり、ヒトの心血管疾患とMNPの相関を検証する臨床試験が行われた:
NCT05900947 動脈硬化プラーク中の汚染物質と心血管イベント / Pollutants in the Atherosclerotic Plaque and Cardiovascular Events (APAChE)
- 頸動脈内膜剥離術を受けた無症候性頸動脈疾患の患者を対象とした、前向き多施設観察研究を実施した。
- 摘出された頸動脈プラーク検体を、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法、安定同位体分析法、および電顕で分析し、MNPの分布を把握した。また、炎症性バイオマーカーを酵素結合免疫吸着測定法および免疫組織化学的測定法で評価した。主要エンドポイントは、心筋梗塞、脳卒中、心筋梗塞による死亡の複合とした。
- 登録患者304人のうち257人について平均 ~ 34ヶ月の追跡を完了し、150人の患 (58.4%) の頸動脈プラークからポリエチレンが検出され、その平均レベルはプラーク1ミリグラム当たり21.7±24.5μgであった。また、31人の患者 (12.1%)にも測定可能な量のポリ塩化ビニルが検出され、その平均レベルはプラーク1ミリグラム当たり5.2±2.4μgであった。
- 電顕画像からは、ギザギザのエッジをもった異物がプラークのマクロファージ中に存在し、プラークのデブリ中に散在していることが、明らかになった。
- X線検査では、これらの粒子の一部に塩素が含まれていることが示された。
- アテローム内にMNPが検出された患者では、これらの物質が検出されなかった患者よりも一次エンドポイントイベントのリスクが高かった (ハザード比、4.53;95%信頼区間、2.00〜10.27;P<0.001)
本研究では、MNPが検出された頸動脈プラークを有する患者は、MNPが検出されなかった患者に比べて、追跡34ヵ月後の心筋梗塞、脳卒中、または何らかの原因による死亡の複合リスクが高かった。
[参考] 毒性を帯びた化合物への曝露を抑制する法
[出典] REVIEW "Health Effects of Fossil Fuel–Derived Endocrine Disruptors" Woodruff TJ. N Engl J Med. 2024-03-07. https://doi.org/10.1056/NEJMra2300476;Table 2. Examples of Recommendations for Reducing Exposure to Toxic
[注] 表2からプラスチック関係の記述を以下に引用:
- 食品は、プラスチック容器ではなく、ガラス、セラミック、ステンレ ススチール容器(入手可能で実行可能な場合)など、プラスチック製でない容器に保存し、プラスチック容器に入れた食品や飲料を電子レンジで温めること は避ける。
- 人工芝のグラウンドは避ける。(やむを得ず人工芝でスポーツをする場合は、フィールド上で食事をしたり、水筒を置いたりしないこと。帰宅時には、スニーカーやクリートは屋外に出し、シャワーを浴び、洗濯物は別に洗うこと)
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