[注] SNCA (α-シヌクレイン / α-syn遺伝子);BBB (血液脳関門);PD (パーキンソン病)
[出典] "Ultrasound-Assisted CRISPRi-Exosome for Epigenetic Modification of α-Synuclein Gene in a Mouse Model of Parkinson’s Disease" Kong W [..] Wang P, Wang X. ACS Nano. 2024-03-04. https://doi.org/10.1021/acsnano.3c05864 [所属] Shaanxi Normal U;グラフィカルアブストラクト

 PD患者では、SNCAの異常なメチル化が報告されており、治療標的となる可能性がある。中国の研究チームが今回、CRISPRiを帯びた人エクソソームを集束超音波 (focused ultrasound: FUS) により血液脳関門を開放させて脳病巣に送達することで、SNCAの特異的メチル化を誘導するエピゲノム編集によるPDの治療可能性を示した。
  • 人工エクソソームは、RVG (狂犬病ウイルス糖タンパク質) 標的化ペプチド、sgRNA、dCas9-DNMT3Aを帯びており、RVG-CRISPRi-Exoと命名された。
  • 生体内において、RVG-CRISPRi-ExoとFUSの併用は、PDモデルマウスの運動能力、バランス協調、神経感受性を有意に改善し、α-シヌクレインの上昇を大幅に抑制し、細胞のアポトーシスを救い、症状の進行を緩和した。
  • また、[18F]-FP-DTBZイメージングにより、黒質線条体路のシナプス機能が回復し、PDモデルマウスの運動行動の制御に寄与することが示唆された。
  • パイロシークエンシングの結果、RVG-CRISPRi-ExoはSNCAの特定部位のCpGをメチル化できることが示され、この特異的編集によりPDモデルマウスで良好な治療効果が得られた。
  • In vitroでは、RVG-CRISPRi-ExoはSNCA転写産物およびα-Syn発現をダウンレギュレートし、神経細胞障害を緩和した。
 人工エクソソームを集束超音波を利用したCRISPRiシステムの脳ナノデリバリーが可能であることが実証され、脳疾患のエピジェネティック制御に関する知見が得られた。