[出典] "The tumour suppressor p53 is a negative regulator of the carcinoma-associated transcription factor FOXQ1" Pizzolato G [..] Koch S. J Biol Chem 2024-03-01. https://doi.org/10.1016/j.jbc.2024.107126 [所属] Linköping U (Sweden)

 フォークヘッド転写因子FOXQ1は、上皮間葉転換と腫瘍転移を促進すると見られているが、癌においてFOXQ1の高発現が誘導される分子機構は、まだ十分に解明されていない。スエーデンの研究チームは今回、2024-03-10 14.56.52CRISPR/Cas9ベースのゲノム遺伝子座プロテオミクス (genomic locus proteomics: GLoPro)][*] [Figure 1引用右図参照]とプロモーター・レポーター・コンストラクトを用いて、FOXQ1の転写制御因子を発見し、FOXQ1発現の負の制御因子として腫瘍抑制因子p53を同定した。
  • モデル細胞株を用いたChIP-qPCRおよび相補的な機能獲得・喪失アッセイにより、p53はFOXQ1プロモーターの転写開始部位の近くに結合し、様々な細胞型においてFOXQ1の発現を抑制することが示された。
  • 同様に、nutlin-3 [*]またはドキソルビシンを用いたp53の薬理学的活性化が、野生型p53を保有するがん細胞株において、FOXQ1のmRNAおよびタンパク質レベルを減少させることが、示された。[*] nutlin-3は、p53の分解を促進するE3ユビキチンリガーゼmdm2 とp53との相互作用を阻害する。
  • さらに、ヒトのがんでは、p53の変異がFOXQ1の発現増加と関連していることが観察された。
 これらの結果を総合すると、多くのタイプの癌の特徴であるp53の機能喪失はFOXQ1を抑制し、その結果、腫瘍の進行を促進することが示唆される。

[*] CRISPRメモ_2018/05/08-1 [第2項] dCas9-APEXによる遺伝子座特異的プロテオミクス'GloPro';"Discovery of proteins associated with a predefined genomic locus via dCas9–APEX-mediated proximity labeling" Myers SA, Wright J, Peckner R, Kalish BT, Zhang F, Carr SA. Nat Methods 2018-5-02.