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[出典] "Precise large-fragment deletions in mammalian cells and mice generated by dCas9-controlled CRISPR/Cas3" Li J, Zhao D, Zhang T [..] Lai L, Sui T, Li Z. Sci Adv. 2024-03-15. https://doi.org/10.1126/sciadv.adk8052 [所属] Jilin U, Guangzhou Institutes of Biomedicine and Health CAS.

 CRISPR-Casシステムを介した染色体の大規模欠失は、CRISPR/Cas9による2箇所切断や、PEをベースとするPEDARPRIME-Del  などによって実現されてはいる。しかし、前者では切断部位に望ましくない変異が誘発されるリスクがあり、後者は、効率が通常1~30%と満足できるものではなかった。

 一方で、I-E型CRISPRシステムにおけるCas3を利用することで、CRISPR/Cas9よりも高い効率で、ヒト細胞において最大〜200kbの欠失を生成できることが示された [*1, 2, 3]

 CRISPR/Cas9がDNA二本鎖切断 (DSB)を生成することで大きな断片欠失を誘導するのとは異なり、CRISPR/Cas3システムは多段階のプロセスを通じてDNA標的を段階的に細断する。I-E型CRISPRは、crRNA, Cas3, およびCascade複合体
(Cas5, Cas6, 多重なCas7, Cas8 (Cse1), そして, 2つのCas11 (Cse2)の複合体) で構成されている [Fig. 1のA/B/C/D引用下図の A 参照]Cas3 1-1この中で、Cascadeシステムが、crRNAを用いて、5′-ARG (R=A/G) PAM配列で挟まれた相補的ターゲットを認識し、安定なRループ形成をもたらし、大きな構造変化を起こす。続いて、ヘリカーゼ・ヌクレアーゼ融合酵素であるCas3がRループ形成カスケードに特異的にリクルートされ、crRNAの非標的鎖 (NTS) DNAがシスで、標的鎖 (TS)がトランスで非特異的なssDNA切断によって繰り返し切断され、上流領域が徐々に分解され、大きなゲノム断片欠失が誘導される。しかし、この一方向性の欠失が続く範囲は予測不可能であり、ゲノム編集、特に遺伝子高密度領域や制御エレメント近傍での編集に適用するにはリスクが大きすぎる。

 研究チームは、部位特異的DNA結合タンパク質が、Cas3が二本鎖DNA (dsDNA)を巻き取るのを防ぎ、Cas3による末端欠失を防ぐ可能性があるという仮説を立てた。この仮説を検証するために、4つの戦略 (SpCas9, Cas9ニッカーゼ (nCas9), dCas9, および異なる向きのcrRNAペアの利用] を試みた[Fig. 1引用右上図の C/D 参照]。その結果、dCas9を利用することで、哺乳類細胞において、Cas3 4Cas3が介在する欠失のサイズを予想される範囲内に制御できることが示された。さらに、dCas9はマウスの標的Y染色体除去や、Sryを保持しつつその下流の正確な大規模欠失を実現した [Fig. 4引用右図参照]

[*] Cas3を介したゲノム編集関連crisp_bio記事と論文
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