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- 2021年11月に韓国仁川で発生した映画館におけるSARS-CoV-2感染の危険因子:レトロスペクティブコホート研究
[出典] "Risk factors for SARS-CoV-2 transmission during a movie theater outbreak in Incheon in the Republic of Korea, November 2021: a retrospective study" Lee HY, Park YJ, Lee SE et al. Osong Public Health Res Perspect. 2024-01-31. https://doi.org/10.24171/j.phrp.2023.0269 [所属] Korea Disease Control and Prevention Agency, Department of Infectious Disease Control (Bureau of Health & Sports, Incheon), Indoor Air Quality Research Center (Korea Institute of Civil Engineering and Building Technology); グラフィカルアブストラクト

 韓国の研究チームが、レトロスペクティブコホート研究 (後ろ向きコホート研究) において、COVID-19確定症例48例の記述的解析を行った。感染のリスク因子を特定するために、映画館入場者80人のコホートにロジスティック回帰を適用し、遺伝子配列データ解析により感染源および伝播経路を特定した。

 スクリーンショット 2024-03-21 10.38.24映画館内と映画館からのサーズウイルス2の感染は、家族からウイルスに感染していた人物がウイルス潜伏期間中に3回目の上映に参加した際に、映画客を経由して劇場内で広がり、さらに、地域社会へと拡大した
[右図はグラフィカルアブストラクトから引用]
  • 48例のうち、35例が劇場来場者 (72.9%)、10例が劇場来場者の家族 (20.8%)、2例が友人 (4.2%)、1例が従業員 (2.1%) であった。
  • 当日の3回目から5回目の上映に参加した80人のうち、35人が感染し、43.8%の発症率となった。特に、3回目に参加した33人のうち28人が発症し、発症率は84.8%に達した。
  • さらに、劇場で発生したSARS-CoV-2と疫学的に関連する12症例のうち11症例は、AY.69系統に単系統的に集積していた。
  • 多変量解析の結果、親密な接触者はカジュアルな接触者に比べて感染リスクが15.9倍 (95%信頼区間、4.37-78.39) 高かった。
  • ワクチン接種と発症率の関係については、1回以下の接種者では70.0%(95%信頼区間、39.7%-89.2%)、2回接種者では40.0%(95%信頼区間、29.3%-51.7%)であった。
 映画館におけるサーズウイルス2の感染リスクは、3つの要素が複合的に作用することで高まっていた:デルタ株の高い伝播性;接触者間の不十分な免疫;屋内の空気汚染 (換気が不十分で、HVAC (heating, ventilation, and air conditioning)システムの運転が最適でなかったため)。

 今後、多用途施設の安全性を向上させるために、換気や衛生対策の効果をシミュレーションによって分析し、実際の環境に適用できる実用的なガイドラインを開発することを目標とすべきである。

[注] 韓国からは2020年にレストランでの感染拡大例 (感染者と6.5 m離れた席で同じ店内に5分いただけで感染した例) が報告されていた [crisp_bio 2021-05-28 新型コロナウイルス:飛沫,エアロゾル, そして空気感染
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