- AIによる新たなクラスの抗生物質発見続く
[出典] "Generative AI for designing and validating easily synthesizable and structurally novel antibiotics" Swanson K, Liu G [..] Zou J, Stokes JM. Nat Mach Intell 2024-03-22. https://doi.org/10.1038/s42256-024-00809-7 [所属] Stanford U, McMaster U

 Broad Institute/MIT/Wyss InstituteのJames J. Collinsらのメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) に対する新しいクラスの抗生物質の発見 [*]に続き、McMaster UniversityのJonathan M. Stokesらが生成AIを利用して、あらゆる抗生物質に耐性を持つアシネトバクター・バウマニ (Acinetobacter baumannii ) に有効な新たなクラスの抗生物質を発見した。

 これまでの抗生物質創薬の手法には限界があった。特性予測モデルは、与えられた特性について分子を一つ一つ評価するが、大規模な化学空間 (chemical space) に対してはスケールが小さい。分子を直接設計する生成モデルは、広大な化学空間を迅速に探索するが、合成が困難な分子を生成する。

 著者らは今回、簡単で安価に合成できる低分子を設計するために構築されていたEnamine Ltdのフラグメントライブラリーから、合成が容易な新規化合物を設計する生成AIモデルSyntheMolを開発し、A. baumannii の増殖を阻害する分子の設計に適用した。

 はじめに、132,000種類のフラグメントと13種類の化学反応を相互参照しながら、優れた抗菌特性を持つ新たな分子を設計するために、SyntheMolを利用して、300億通りのフラグメントの組み合わせから~13,500個をスクリーニングし、有力候補58個を合成し、実験検証した。また、毒性を予測するために学習させた別のAIモデルを利用することで、A. baumannii に対して強力な抗菌活性を示し、毒性もない構造的に新規な分子6種類が得られた。これらは、A. baumannii だけでなく、系統樹上で多様な病原菌に対して抗菌活性を示した。

 こうして本研究は、広大な化学的空間から構造的に新規で合成可能かつ効果的な低分子抗生物質候補を設計し、経験的検証を行うための生成AI人工知能の可能性を示す結果となった。

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