[出典] "Split activator of CRISPR/Cas12a for direct and sensitive detection of microRNA" He W, Li X [..] Yan Y. Anal Chim Acta. 2024-03-22. https://doi.org/10.1016/j.aca.2024.342477 [所属] Chongqing Medical U, Hospital of Traditional Chinese Medicine

[背景]

 Cas12-crRNAシステムは、主たる基質であるdsDNAを認識すると、ssDNAを無差別にトランス切断する活性 (コラテラル活性)を発揮する。すなわち、crRNAの標的dsDNAがコラテラル活性のアクチベーターとして機能する。この仕組みはDNAの超高感度検出に活用され、また、逆転写・増幅の前処理を加えることで、RNAの検出にも展開された。さらに、crRNAのPAM-遠位領域が、PAM-近位シード領域にDNA標的があることを条件に、RNA標的を認識することを発見したフロリダ大学の研究チームが、スプリット・アクチベーターを開発し、ピコモル濃度のRNAを、RNAの増幅、逆転写、鎖置換なしに検出可能とするSAHARA (Split Activator for Highly Accessible RNA Analysis) を開発した [*1]。また、全長crRNAとスプリット型crRNAを併用することで、RNAの直接検出が可能になることを、コネチカット大学医学センターの研究チームが報告していた [*2]。さらに、中国のHubei University大学などの研究チームが、crRNAのスキャフォールド部分とスペーサー部分にスプリットすることで、RNAとDNAの高感度・選択的・多重検出をプレプリントサーバbioRxiv から報告していた [*3]

[スプリット型crRNA - Cas12aに関連するcrisp_bio記事と論文]
  1. [*] 2023-09-08 Cas12aのcrRNAの標的認識機構を深く理解することから、DNAとRNAの多重検出も可能にするSAHARAを開発;"Programmable RNA detection with CRISPR-Cas12a" Rananaware SR [..] Jain PK. Nat Commun 2023-09-05. 
  2. [*] 2023-11-24 Cas12aに全長crRNAとスプリット型crRNAを併用することで、標的DNAの検出感度向上とRNA直接検出を実現;"Asymmetric CRISPR enabling cascade signal amplification for nucleic acid detection by competitive crRNA" Moon J, Liu C. Nat Commun. 2023-11-18. 
  3. [*] 2024-01-09 CRISPR-Cas12aにスプリット型crRNAを組み合わせることで, RNAとDNAの高感度・選択的・多重検出を実現; "A split crRNA with CRISPR-Cas12a enables highly sensitive, selective, and multiplexed detection of RNA and DNA" Qiao J, Chen Y, Wang X [..] Liu Y. bioRxiv 2024-01-04 (preprint). 
  4. [20211231更新] Cas12aの効率的標的切断とコラテラル活性を,足場とスペーサーとにスプリットしたcrRNAで実現;"Efficient target cleavage by Type V Cas12a effectors programmed with split CRISPR RNA" Shebanova R, Nikitchina N [..] Severinov K, Entelis N, Mazunin I. Nucleic Acids Res. 2021-12-24. 
[成果]

 中国のChongqing Medical Universityなどの研究チームが今回、ある種のキメラDNA-RNAハイブリッド一本鎖がCas12aのトランス切断活性を活性化することを発見し、次に、分割ssDNAとRNAが同時に存在する場合の活性化効果を発見した。そこで、miR-155を直接検出するためのスプリット・核酸アクチベーターを介してコラテラル活性を発揮するCas12a (SNA-Cas12a と命名) システムを開発した。

 具体的には、crRNAスペーサー配列の近位末端に短いssDNAを付加することで、Cas12aを用いたRNA標的の直接検出を実現した。すなわち、SAHARAと同様に、ssDNAの存在下で、CRISPR/Cas12aがRNA標的によってコラテラル活性を発揮した。さらに、crRNAのプログラム可能性を利用して、Cas12a活性化に向けてDNAおよびRNAへの結合長を最適化した。その結果、SNA-Cas12a法は、pMレベルでの高感度miR-155検出を可能にした。