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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Intrinsic RNA Targeting Triggers Indiscriminate DNase Activity of CRISPR-Cas12a" Zhang J [..] Liu C. Angew Chem Int Ed Engl. 2024-03-22. https://doi.org/10.1002/anie.202403123 [所属] U Connecticut Health Center, UConn Health

 米国の研究チームが、AsCas12aとLbCas12aのRNAを介したトランス切断活性を調べたところ、LbCas12aのトランス切断活性は一本鎖DNAやRNA基質に対してAsCas12aよりも弱いが、完全に相補的なRNA標的によって直接活性化されることを発見した。さらに、驚くべきことに、RNAで活性化されたCas12aは、DNAで活性化された場合に比べて高い特異性を示すことを発見した。

 これらの知見に基づき、核酸検査のための "RNAの感知を介してウイルスの同定を可能にする万能型ヌクレアーゼ" / "Universal Nuclease for Identification of Virus Empowered by RNA-sensing" (UNIVERSE)アッセイ法を開発した。このアッセイ法では、T7転写ステップを組み込むことにより、ターゲット中のPAM配列の必要性を排除した。

 UNIVERSEによって、従来のCas12aアッセイでは検出できなかったHIV臨床サンプル中の複数のPAMなしターゲットの検出に成功した。すなわち、UNIVERSEによって、ゲノム上のターゲットを制限なく選択することが可能になった。さらに、臨床サンプル中のHIV RNAとHPV 16 DNAの双方を検出し、UNIVERSEの臨床的有用性を実証した。

 著者らは、内在性RNAをそのコラテラル活性のアクチベータとするCas12aは、Cas12αをベースとする核酸検出法にパラダイムシフトをもたらし、CRISPR-Cas生化学の理解をさらに深めることができるとした。
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