[出典] "Lentiviral mediated delivery of CRISPR/Cas9 reduces intraocular pressure in a mouse model of myocilin glaucoma" Patil SV [..] Zode GS. Sci Rep. 2024-03-23. https://doi.org/10.1038/s41598-024-57286-6 [所属] U North Texas Health Science Center at Fort Worth, UC Irvine, U Iowa.

 ミオシリン (MYOC ) の変異は原発性開放隅角緑内障 (open-angle glaucoma) の主因として知られており、全症例の約4%を占めている。MYOC の変異は、変異型ミオシリンが小胞体に蓄積し、小胞体ストレスと線維柱帯 (小柱網)/rabecular meshwork (TM) の細胞死を引き起こす機能獲得型表現型を引き起こす。したがって、ゲノムレベルでミオシリンをノックアウト (KO)することは、この疾患を永久に治癒させる理想的な戦略である。著者らは先行研究で、アデノウイルス5 (Ad5) を介して、MYOC を標的とするCRISPR/Cas9ゲノム編集に成功していた。

  しかし、Ad5は臨床使用には適さないベクターであることから、今回、アデノ随伴ウイルス (AAV) とレンチウイルス (LV) の利用可能性を評価した。

 はじめに、一本鎖(ss)と自己相補性(sc)のAAV血清型、およびGFPを発現するLVのTMトロピズムを、硝子体内注射 (IVT) と前房内注射 (intracameral: IC) で検証した。その結果、LV_GFP の発現は、IVTルートで注入されたTMにより特異的であることが観察された。Trp変異型scAAV2のICでは、GFPの顕著な発現がTMで認められたが、毛様体や網膜においてもロバストなGFP発現が観察された。

 次に、MYOC (crMYOC ) を標的とするガイドRNA (gRNA) とCas9を発現するレンチウイルス粒子を構築し、変異型ミオシリンを安定に発現しているTM細胞にLV_crMYOC を導入すると、ミオシリンの蓄積とそれに関連する慢性ERストレスが有意に減少した。Tg-MYOCY437H マウスにLV_crMYOC を1回静脈内注射すると、TMにおけるミオシリンの蓄積が減少し、眼圧上昇が有意に抑制された。

 これらのデータを総合すると、LV_crMYOC はTMにおけるMYOC 遺伝子編集を実現し、ミオシリン関連緑内障モデルマウスを救済することが示された。