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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Base editing correction of OCRL  in Lowe syndrome: ABE-mediated functional rescue in patient-derived fibroblast" Chen S [..] Sun Y. Hum Mol Genet 2024-04-01. https://doi.org/10.1093/hmg/ddae045 [所属] Stanford U School of Medicine, Tongji U School of Medicine (兼任), Palo Alto Veterans Administration (兼任)

 ロウ症候群は、眼、腎臓、中枢神経系に主要な異常を呈するまれなX連鎖性の多臓器障害であり、イノシトールポリリン酸5-ホスファターゼをコードするOCRL 遺伝子 (NG_008638.1)の変異によって引き起こされる。有効な治療法はない

 米国の研究チームが今回、アデニン塩基エディター (ABE) を用いて、患者の線維芽細胞でロウ症候群の新規遺伝子治療を試みた。OCRL   遺伝子にR844X変異を持つロウ症候群患者由来線維芽細胞株において、ABE8e-NGを利用して疾患原因変異を修正することにより、mRNAおよびタンパク質レベルでOCRLの発現を回復させることに成功した。

 また、繊毛形成、微小管固定、α-アクチニン分布、F-アクチンネットワークの欠損など、OCRL機能不全の特徴である細胞異常も回復した。

 本研究は、現在難治性の疾患であるロウ症候群へのABEによる治療の基礎を築くものである。
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