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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] 
News & Views "Immune dysregulation in long COVID" Ceglarek L, Boyman O. Nat Immunol. 2024-04-08. https://doi.org/10.1038/s41590-024-01795-z [所属] U Zurich, U Hospital Zurich
論文 "Large-scale phenotyping of patients with long COVID post-hospitalization reveals mechanistic subtypes of disease" Lieu F, Efstathiou C [..] Thwaites RS,  Openshaw PJM, PHOSP-COVID collaborative group  & ISARIC investigators. Nat Immunol 2024-04-08. https://doi.org/10.1038/s41590-024-01778-0 [所属] 英国の395機関に数ヵ国の機関および2つの国際コンソーシムが加わったグループ
[注] PHOSP-COVID (Post-hospotalisation COVID-19) ; ISARIC (International Severe Acute Respiratory and emerging Infection Consortium) 

[N & V] ロングCOVIDにおける免疫調節異常
 COVID-19患者の血漿タンパク質のプロファイリングから、補体活性化と骨髄性炎症が長いCOVIDの病因における主要な経路であることが示され、長いCOVID患者における免疫調節異常の明確なプロファイルが同定され、この疾患の異質で多様な性質が強調された。

[論文] 

 サーズウイルス2感染症 COVID-19の10人に1人は、ロングCOVIDと呼ばれる症状に長期間悩まされているが、その表現型や発症機構は十分に理解されていない。 研究グループは今回、発症機構から見たロングCOVIDのサブタイプを定義し、ロングCOVIDの精密化への道を拓いた。

 入院後3ヵ月以上経過した657人の血漿タンパク質368個のプロファイリングを行い、ロングCOVIDが骨髄性炎症マーカーと補体活性化マーカーの上昇と相関することを見出した。なお、657人のうち426人には少なくとも1種類のロングCOVIDの症状があり、233人は完全に回復していた [以下、Extended Data Fig. 10 | Graphical abstract.引用右下図参照]long COVID subtypes
  • IL-1R2、MATN2、COLEC12は心肺症状、疲労、不安・抑うつと関連し、MATN2、CSF3、C1QAは消化器症状で上昇し、C1QAは認知障害で上昇した。
  • さらに、神経組織修復の変化を示すマーカー (SPON-1およびNFASC) が認知障害で上昇し、脳腸軸(brain-gut axis)   https://bifidus-fund.jp/keyword/kw033.shtml 障害を示唆するSCG3が胃腸症状で上昇した。
  • サーズウイルス2特異的免疫グロブリンG (IgG) は、ロングCOVID患者の一部で持続的に上昇していたが、喀痰からはウイルスは検出されなかった。
  • 鼻汁中の炎症マーカーの分析では、症状との関連は認められなかった。
 本研究は、ロングCOVIDの根底にある炎症過程を理解することを目的としたものであり、バイオマーカー探索を目的としたものではなかったが、組織損傷に関連する特異的な炎症経路がロングCOVIDのサブタイプに関与していることを同定し、将来の治療試験における標的の手がかりを提供するに至った。
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