[出典] "Engineering of Zinc Finger Nucleases Through Structural Modeling Improves Genome Editing Efficiency in Cells" Katayama S (片山 翔太) [..] Yamamoto T (山本 卓). Adv Sci 2024-04-10. https://doi.org/10.1002/advs.202310255 [所属] 広島大, 産総研 (機能化学研究部門, バイオメディカル研究部門)

 ゲノム編集因子として、ZFNは、TALENやCRISPR-Cas9よりもサイズが小さいことから、AAVのようなカーゴスペースが限られたウイルスベクターに容易にパッケージすることができ、生体内ゲノム編集や遺伝子治療への応用が容易である。また、CRSIPR-Casシステムには複雑な特許が伴っているのに対して、ZFNの特許は切れており、その観点から産業利用が容易である。しかし、機能的なZFNを構築し、そのゲノム編集効率を向上させることは極めて困難である。

 広島大学と産総研の研究チームは今回、AlphaFoldCootRosettaの3種類のタンパク質構造モデリングを利用して、機能的ZFNの効率的な構築とゲノム編集効率の向上を実現した。

 Sangamo Therapeutics社は、5本または6本のタンデムに配列されたZFモジュールからなる機能的なZFタンパク質を簡単に構築できる独自のモジュラーアセンブリーシステムを報告している [Nat Med 2019]。研究チームは今回、ZFモジュールのモジュラー・アセンブリが、5または6フィンガーZFNを構築するのに有用であろうという仮説を立てた。

 はじめに、6-フィンガーZF (6-ZF)とDNAの相互作用を理解するために、前述のモデリングツールを用いて6-ZF-DNA構造をモデリングした。また、マウス転写因子 Zif268 の X 線結晶構造がC2H2 型 ZF としてよく知られており、その DNA 複合体も決定されていた[Science 1991] ことから、Zif268-DNA 構造をもとに 6-ZF-DNA 複合体モデルの構築と改変を試みた。

 公開されているジンクフィンガー・リソースを用いて、6本のフィンガーからなるZFNをコードするプラスミドをアセンブルした。テストした10個のZFN (ZF-ND1と称する) から2個の機能的ZFNを得ることに成功し、さらに、AlphaFold、Coot、またはRosettaを用いたZFNのエンジニアリングを経て、ゲノム編集の効率を22%から27%へと5%向上させることに成功し、構造モデリングによるZFNの性向上の可能性が示された。