[注] cfDNA (cell-free DNA / 細胞から放出され血中を循環するセルフリーDNA)
[出典] "An in vitro CRISPR screen of cell-free DNA identifies apoptosis as the primary mediator of cell-free DNA release" Davidson BA [..] Park BH. Commun Biol 2024-04-10. https://doi.org/10.1038/s42003-024-06129-1 [所属] Vanderbilt U Medical Center and the Vanderbilt-Ingram Cancer Center, Vanderbilt U

 臨床においてcfDNA 検査は今や日常的なものとなっているが、検査の精度はまだ限定的である。ヴァンダービルト大学関係の研究チームは今回、cfDNAのライフサイクルを理解することで、検査精度を向上させる機会を見出せると想定し、細胞株パネルを対象とするcfDNA放出のプロファイリングを行い、セルフリーCRISPR-Cas9スクリーニング (以下, cfCRISPR) を用いてcfDNA放出のメディエーターの同定を試みた。

 はじめに、24種類のヒト細胞株におけるin vitroでのcfDNA放出のプロファイリングを行ったところ、多くの癌細胞が、非アポトーシス的放出機構に関連すると考えられるcfDNA断片化パターンを有し、1000 bp以上のcfDNAが濃縮されていることが観察された。しかしながら、非腫瘍性細胞株と癌細胞株の双方にcfCRISPRを適用することで、アポトーシス過程に関与する遺伝子がcfDNA放出の主要なエフェクターであることを同定した。さらに、2つのアポトーシス制御遺伝子 (FADD BCL2L1 ) と1つのRNA結合タンパク質遺伝子 (KHDRBS1/Sam68) が、cfDNA放出のメディエーターとして特定された。さらに、細胞株は腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド (TRAIL) の添加によって、より多くのcfDNAを排出するように誘導された。

 様々な方法でアポトーシスを変化させると、ヒトで見られる167bpの断片化パターンを最初に示した細胞株でも、すべての細胞株で大きな断片サイズでのcfDNA放出に変化が見られた。このことは、アポトーシス経路を通して放出されるcfDNAは、本来167bpという「特徴的な」アポトーシスサイズに切断されるわけではなく、cfDNA放出後にさらなる切断が起こる可能性が高いことを示唆している。

 本研究は、アポトーシス経路がcfDNA放出の主要なメディエーターであるという決定的な遺伝学的証拠を提供し、cfCRISPRをさらなる遺伝子スクリーニングのための有効なツールとして確立し、この知識を臨床応用するための新たな知見を提供するものである。