[出典] "Assessing the environmental contribution of clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR) rice in the presence of insect pest uncertainty" Jin Y, Gil JM. Environ Dev Sustain 2024-04-12. https://doi.org/10.1007/s10668-024-04845-6 [所属] Center for Agro-Food Economics and Development (Barcelona), Technical U Catalonia, Wageningen U

 ゲノム編集による害虫抵抗性の付与は、農薬の使用抑制に寄与し、持続可能な開発に貢献する。これまでに、CRISPR技術によって最も破壊的な害虫のうち2種に抵抗性を持つイネ (以下、CRISPRイネ) が作出されたが、害虫抵抗性と潜在収量の低下がトレードオフの関係にあることが課題であった。害虫の繁殖に不確実性がある中で、CRISPRイネの採用は、稲作が環境に及ぼすメリットとデメリットを考慮したミクロ経済モデルに基づいて最適な作付け比率を推定することで、環境便益(environmental benefits) をもたらす。

 スペインとオランダの研究チームは今回、最適な作付け比率を37%と推定し、この条件でCRISPRイネを中国で共同作付けすることにより、環境便益は年間5億6,000万米ドルに相当すると推定した。モンテカルロシミュレーションでは、この環境便益はCRISPRイネの総価値の4-22%を占める。さらに、最適作付け比率と環境便益に関する地域的不均一性も、中国における主要な稲作12省について分析した。

 政策立案者は、CRISPRイネの経済的・環境的市場の可能性をより包括的に捉えるために、CRISPRイネ導入による膨大な環境便益を考慮する必要がある。ひいては、本研究は、中国および世界におけるCRISPR技術の規制に関する白熱した政策論議に貢献するものである。