[注] DMD (Duchenne Muscular Dystrophy; デュシェンヌ型筋ジストロフィー)

[出典]
  • 論文 "Correction of human nonsense mutation via adenine base editing for Duchenne muscular dystrophy treatment in mouse" Jin M, Lin J, Li H, Li Z [..] Xu C, Yang H, Chen W-J, Li G. Mol Ther Nucleic Acids. 2024-03-06. https://doi.org/10.1016/j.omtn.2024.102165 [所属] Fujian Medical U, HuidaGene Therapeutics Co Ltd, Wayne State U (Detroit, 兼任), Lingang Laboratory (Shanghai), Shanghai Center for Brain Science and Brain-Inspired Technology, Shanghai Institutes for Biological Sciences CAS;グラフィカルアブストラクト
  • 解説 "Base editing in humanized dystrophic mice" Zhang C, Zhou Y, Han R. Mol Ther Nucleic Acids. 2024-04-12. https://doi.org/10.1016/j.omtn.2024.102185 [所属] Indiana U School of Medicine
 DMDは、ジストロフィンの欠損、進行性の筋肉委縮、心不全、早期死亡を特徴とし、有効な治療法はない。中国の研究チームは今回、ジストロフィン遺伝子に未成熟終止コドンをもたらすナンセンス点突然変異 [*]を塩基エディターSpG-ABEで修正することを試みた。
 [*] DMDの~70%はジストロフィン遺伝子における大規模な欠失に由来するが、10-15%はナンセンス変異に由来するとされている。

 まず、27名からなるDMD患者コホートにおいてDMDの原因となる12種類のナンセンス変異を同定し、SpG-ABEにより、DMD患者由来のiPS細胞から分化させた心筋細胞において、ABEを利用して、これらの変異に直接A-to-G変換を施すことで、ジストロフィンの発現を回復させることに成功した。

 続いて、ヒト・ジストロフィン遺伝子のエクソン23または30に変異を持つDMDのヒト化マウスモデルを2種類作製し、ABEによる修復を試みた。ユビキタスまたは筋肉特異的プロモーターによって駆動されるABEの筋肉内投与は、ヒト化DMDマウスの骨格線維におけるジストロフィンの発現を回復させた。さらに、ヒトsgRNAを用いたABEの単回全身投与により、体全体にジストロフィンの発現を誘導し、ロータロッド試験 (rota-rod-tes) において筋機能の改善が見られた。

 これらの知見は、ヒトsgRNAを用いたABEがヒト化マウスモデルのDMDを治療的に軽減できることを示しており、単発性疾患におけるABE療法の可能性を示した。