[出典] "Exploring the origin of a unique mutant allele in twin-tail goldfish using CRISPR/Cas9 mutants" Lee SH, Wang CY, Li IJ, Abe G, Ota KG. Sci Rep. 2024-04-15. https://doi.org/10.1038/s41598-024-58448-2 [所属]  Institute of Cellular and Organismic Biology (Taiwan), 鳥取大

 観賞用動物では、希少な表現型の特徴を遺伝的に固定するために、人工選択が広く利用されてきた。これらの動物の多くでは、希少表現型の基礎となる変異遺伝子座と対立遺伝子が知られている。しかし、これらの稀な遺伝的変異が、関連する変異対立遺伝子間の競争によって固定されたのか、あるいは偶発的な確率的事象によって固定されたのかを調べた研究はほとんどない。

 台湾の細胞與個體生物學研究所と鳥取大学の研究チームが今回、観賞用のtwin-tail金魚とCRISPR/Cas9で変異させた金魚との遺伝的交配を行い、なぜ現代の金魚集団ではE127X  終止コドンを持つ単一の変異対立遺伝子 chdS (chdAE127X とも呼ばれる) だけがtwin-tailの表現型を生み出すのかを探った。Twin-tail gold fishCRISPR/Cas9を用いて近縁の2つのchdS 変異体を作製し [Fig. 1引用右図参照]、F2およびF3世代でE127X 対立遺伝子と比較した。
  • CRISPR/Cas9で作製した対立遺伝子はいずれも、twin-tailの表現型の浸透率/発現率、および各対立遺伝子を帯びた個体の生存率において、E127X対立遺伝子と同等であり、複数の切断変異が生存可能なtwin-tail金魚を生み出した可能性を示した。
  • したがって、現代の金魚にtwin-tail表現型の多型対立遺伝子が存在しないのは、共通祖先において確率的な排除が行われたか、競合する対立遺伝子が存在しなかったためであると考えられる。
 本研究は、特異な遺伝子型と表現型の遺伝的固定がどのように起こったかを理解するために、特異な家畜化由来の対立遺伝子をCRISPR/Cas9で生成した対立遺伝子と実験的に比較した初めての例であり、また、飼育された動物における稀な進化的事象を解析するに展開可能な枠組みを示した。