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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Precise genome editing underlines the distinct contributions of mutations in ERG11, ERG3, MRR1, and TAC1 genes to antifungal resistance in Candida parapsilosis " Hartuis S [..] Morio F. Antimicrob Agents Chemotherapy. 2024-04-16. https://doi.org/10.1128/aac.00022-24 [所属] Nantes U.

 C. parapsilosis   がフルコナゾール耐性を獲得したことで、院内アウトブレイクが発生するなど、医療と健康に対する大きな脅威となっている。フランスの研究チームは今回、CRISPR-Cas9を用いた精密なゲノム編集により、フルコナゾール耐性へのC. parapsilosis ERG11, ERG3, MRR1, およびTAC1 遺伝子の変異の寄与と、抗真菌剤耐性に対する対立遺伝子の投与量の影響を探った。

 フルコナゾール耐性の臨床分離株で以前に報告された最も一般的な7つのアミノ酸置換 (ERG11 のY132Fを含む) を、2つのフルコナゾール感受性C. parapsilosis 系統 (ATCC 22019とSTZ5) に導入した。各変異体は、アゾール系抗真菌薬を中心に、様々な抗真菌薬に対してin vitroでテストし、また、Galleria mellonella モデルを用いて、病原性への影響を探った。
CRISPR-Cas9を利用することで、合計19種類の変異体を作成した。
  • R398I (ERG11) を除き、残りのアミノ酸置換はすべてフルコナゾールに対する感受性を低下させた。しかし、フルコナゾールのin vitro感受性に対する影響の大きさは、操作された変異によって大きく異なり、MRR1 の機能獲得変異として作用するG583Rでより強い影響が認められた。
  • 新しいアゾール系抗真菌薬、非医薬用アゾール系抗真菌薬、さらにフルシトシンなどの非アゾール系抗真菌薬との交差耐性が時折認められた。試験管内ではポサコナゾールとイサブコナゾールが最も活性を示した。
 本研究により、G583Rを除き、フルコナゾール耐性の獲得に関連するフィットネスコストは認められなかった。C. parapsilosis における抗真菌性獲得には、ERG11, ERG3, MRR1, TAC1遺伝子のアミノ酸置換が寄与していることが明らかになった。
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