- 接触感染, 空気感染, 飛沫感染, エアロゾル感染
[出典] NEWS "WHO redefines airborne transmission: what does that mean for future pandemics?" Nogrady B. Nature 2024-04-24. https://doi.org/10.1038/d41586-024-01173-7
ウイルス学者たちは現在、サーズウイルス2の感染経路のほとんどが、吸入された小さな粒子が空気中に数時間留まることによる空気感染であることを認めている。サーズウイルス2はまた、ウイルスを含む大きな「飛沫」が手指などの表面に付着したり、短距離で飛散したりすることによっても広がる。
しかし、WHOが空気感染の重要性を公に認めたのは2020年10月のことで、COVID-19の感染に関する公式文書に空気感染を含めるよう修正されたのは2021年12月のことだった。その結果、初期の感染対策と予防のアドバイスは、マスク着用や換気の改善よりも、表面の洗浄、手洗い、社会的距離を置くことに主眼が置かれた。研究者の中には、WHOが空気感染をもっと早く認識していれば、命を救うことができたかもしれないと言う者もいる。
WHOは2024年4月18日、まざまな科学分野の専門家100人以上との2年以上にわたる協議の結果、空気感染、飛沫感染、エアロゾルの区別を明確にする技術報告書を発表した。この報告書では、パンデミックの間に直径5μm以上の粒子とそれ以下の粒子を区別するために使用された「飛沫」と「エアロゾル」の区別を廃止し、その代わりに、大きさに関係なく、このような粒子をすべて表す '‘infectious respiratory particles / 呼吸器感染性粒子’という用語を提案している。
しかし報告書は、空気中に拡散するすべての病原体を'airborne / 空気感染性'と表現することを避けている。その代わり、'through the air / 空気中を通過する感染'という包括的な用語を使い、「病原体が空気中を移動したり、空気中に浮遊したりする」あらゆる感染様式を表現した。また、この様式を、’‘airborne transmission/inhalation (空気感染/吸入)’’と'direct deposition (直接沈着)' に分類した。前者は、呼吸器感染性の粒子が空気中から気道に吸入されることを意味し、後者は、粒子が短距離を移動して他人の口、鼻、目に直接付着することを意味する。この用語の下では、COVID-19は空気感染/吸入感染によって空気中に広がるものと認識され、直接沈着による感染のリスクはそれより遥かに小さい。
この報告書はいくつかの議論を巻き起こした:
- エアロゾルと飛沫の間の5マイクロメートルという区分を無くしたことは合理的である。この区別は、マスク着用や換気よりも、手洗いや距離の取り方、表面洗浄を重視する誤った対策をもたらしていた。
- 一方で、「空気中を通過する」と言う用語は曖昧であり、「空気感染」とすべきであった。なぜならば、「空気感染」に、感染性の呼吸器粒子を吸い込む空気感染と、あまり一般的ではない直接沈着による感染をまとめることができるからである。
- 報告書作成の過程でも、パニックを回避するために「airborne/ 空気感染」という用語を使うのを避けるべしという主張があった一方で、「空気中を通過する」ではなく「airborne/ 空気感染」こそ使うべきだという主張もあった。
しかし、「重要なのは一連の概念・用語が実際にどのように適用されるかである」と、グループの共同議長であり香港大学の環境工学専門のYuguo Liは言う。「理論的には、空気感染は水系感染や媒介感染と同様に完璧な包括的用語であるが、人によって、異なる意味に使われる」「公衆衛生の専門家や医学の専門家と協力して、それらの感染に対する然るべきの対応が何かを理解することが重要である」とLiは言う。
Leicester大学の臨床ウイルス学者Julian Tangは、「この文書は次のパンデミックに世界がどのように対応するかの重要な基準となる」「次のパンデミックは呼吸器系ウイルスになる可能性が高い。この報告書は感染経路を明確にしており、公衆衛生担当者が適切に対応するのに役立つだろう」、「マスキングを早期に検討し、換気を早期に検討し、あらゆる予防策を早期に検討するだろう」と言う。
WHOの主任科学者Jeremy Farrarは、「この新しい定義が将来のパンデミックにおいて命を救う可能性があると信じている」、「今必要なのは、この定義をベースとして、本当に重要な非薬理学的介入、そしてそれが有効かどうか、その根拠を理解することです」と言う。
[crisp_bio注] 本記事の中では「(用語は)人によって、異なる意味に使われる」というコメントが核心と思われる。専門家の間ではもとより、専門家と非専門家の間で、同じ用語が同じように理解されるようにしていくことが、混乱を避けるために肝要と思われる。
[crisp_bio注] 本記事の中では「(用語は)人によって、異なる意味に使われる」というコメントが核心と思われる。専門家の間ではもとより、専門家と非専門家の間で、同じ用語が同じように理解されるようにしていくことが、混乱を避けるために肝要と思われる。
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