[出典] LETTER "Dangers of disposable electronic devices" Young L, Dawson S, Lavallee D et al. Science. 2024-04-25. https://doi.org/10.1126/science.ado6757 [所属] Abertay U, U Dundee, U College London, U Plymouth.

 消費者 (consumerist) 社会では、利便性が環境への責任を上回り、使い捨て製品の普及につながっている。特に懸念されるのは、"ファステック/fast tech (fast technologies) "と呼ばれる使い捨て電子機器である。例えば、電子タバコの一種であるVAPE(ベイプ)には、潜在的に有害な廃棄物が含まれている。拡大する使い捨て電子機器産業は、VAPEの他にも、ミニ扇風機、装飾用ライト、使い捨てヘッドフォンなども増えている。こうした電子機器の生産と廃棄は、環境を損なう。

 英国における使い捨てVAPEの売上は2022年から2023年にかけて4倍になり、2023年には消費者は毎週500万台のデバイスを捨てている。米国では、消費者は毎秒4.5個の使い捨てVAPEを捨てている。VAPEをはじめとする使い捨てで安価に製造される電子機器には、リチウムやその他の希土類元素などの貴重な資源が含まれている。一方で、リチウムを含むこれらの資源の多くは、電気自動車用バッテリーのようなグリーン産業にとって極めて重要であり需要が高まるばかりであり、資源の枯渇が危機的なレベルにまで近づいている。

 使い捨てVAPEはリサイクル可能として販売されているが、明確なリサイクル方法、利用しやすいリサイクルのインフラ、保証金返還制度がないまま販売されているため、使用後に貴重な素材を返却するインセンティブがほとんどない。さらに、リサイクルは重要ではあるが、最も好ましくない廃棄物管理ソリューションである。なぜなら、使い捨てVAPEや同様の製品は、直線的な消費を永続させ、循環型経済への移行を妨げている。

 電子機器廃棄物への取り組みは、企業の責任の低さ、リサイクル・インフラの不足、再利用・修理・リサイクルを奨励する市場の失敗によって妨げられてきた。環境悪化の継続と資源の枯渇を避けるためには、世界的な取り組みによって、増大する使い捨て電子機器産業に対処しなければならない。

 使い捨て電子機器への対処について参考になる事象がある。例えば、使い捨てビニール袋の使用を減らすために実施された戦略は、電子機器にも適用できる。また、欧州連合 (EU) におけるユニバーサル充電ケーブルの採用は、より長持ちする製品のモデルとなりうる。プラスチックに関する国際条約は、責任ある技術産業を保証する枠組みを提供しうる。

 しかし、電子機器の廃棄を対象とするアプローチをその根幹から問い直す必要がある。このような製品は、長期的には危険すぎて、市場に出し続けることを正当化できないかもしれない。最近オーストラリアで行われた使い捨てVAPEの禁止措置や、イギリスで発表された禁止措置は、正しい方向への一歩である。

[crisp_bio注] 太陽電池パネルのリサイクル・リユースは回っているのだろうか? 太陽電池パネルの生産と廃棄に要するエネルギーは、太陽電池パネルからだけからの発電量で賄えるのだろうか?