[出典] "Accelerated generation of gene-engineered monoclonal CHO cell lines using FluidFM nanoinjection and CRISPR/Cas9" Antony JS [..] Mezger M. Biotechnol J. 2024-04-2. https://doi.org/10.1002/biot.202300505 [所属] U Tübingen, Cytosurge AG, MaxCyte Inc 

 チャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞は、モノクローナル抗体を含む組換えタンパク質の製造に一般的に用いられる哺乳類宿主系である。しかし、CHO細胞で生産されたモノクローナル抗体に見られる好ましくない非ヒト糖鎖プロファイルは、製品の品質、薬物動態、および治療効率に悪影響を及ぼす。CHO細胞における糖鎖形成経路に関与する遺伝子を遺伝子レベルで除去するような糖鎖工学は、実行可能な解決策ではあるが、より長い期間と手間のかかるワークフローという制約がある。

 ドイツ・スイス・米の産学の研究チームは今回、Cytosurge AGのシングルセル・インジェクションシステムであるFluidFM技術を介して、CRISPRのコンポーネントを単一細胞に核内導入することで、CHO細胞を加工する'CellEDIT'と称する新たなアプローチの概念実証実験を行った。
  • 限界希釈、細胞選別、ポジティブセレクションを必要とせず、高品質なモノクローナル抗体の産生が保証されることが明らかになった。
  • BAX、DHFR、FUT8を標的とするCRISPRシステムを単一細胞の核内に直接注入することで、単一ノックアウトだけでなく、トリプル・ノックアウトCHO-K1細胞株も、短時間で作製することが可能になった。
  • 単一および複数のノックアウトクローン解析により、標的遺伝子の破壊とタンパク質発現の変化が確認された。
  • ノックアウトCHO-K1クローンは、その後の継代においても遺伝子編集の持続性を示し、血清を含まない合成培地に適合し、親クローンと同等の導入遺伝子発現を示した。