[出典] "CAR affinity modulates the sensitivity of CAR-T cells to PD-1/PD-L1-mediated inhibition" Andreu-Saumell I, Rodriguez-Garcia A [..] Guedan S. Nat Commun. 2024-04-26. https://doi.org/10.1038/s41467-024-47799-z [所属] Fundació Clínic Recerca Biomédica- IDIBAPS, Medical U Vienna, U Barcelona, Hospital Clínic de Barcelona

 固形癌に対するキメラ抗原受容体 (CAR)-T細胞療法は、PD-1/PD-L1軸を介するT細胞阻害を含む大きなハードルに直面している。この経路を破壊することによるT細胞への影響は活発に研究されているが、今のところ、論争を巻き起こす結果となっている。その中で、スペインの研究チームが、CAR - 抗原の親和性が、PD-1/PD-L1軸に対するT細胞の感受性を調節する重要な因子であるかもしれないという仮説の上で、研究を進めた。

 様々な前臨床モデルにおいて、低親和性 (low affinity: LA) または高親和性 (HA) のHER2を標的とするCAR-T細胞を体系的に分析した。その結果、腫瘍細胞株と、PD-L1密度を変化させた支持脂質二重膜 (a synthetic model of glass-supported lipid bilayers: SLBs)のin vitroモデルを用いて、LA CAR-T細胞はHA CAR-T細胞と比較して、PD-L1を介した阻害に対する感受性が高いことが明らかになった。

 CRISPR/Cas9を介したPD-1 KO (ノックアウト) は、in vitroではLA CAR-T細胞のサイトカイン分泌と多機能性を、in vivoでは抗腫瘍効果を増強し、T細胞の疲弊に関連する遺伝子シグネチャーのダウンレギュレーションをもたらした。対照的に、HA CAR-T細胞はこうしたPD-1 KOのメリットを受けない。

 また、PD-1 KOに対する挙動は共刺激因子のCD28またはICOSを組み込んだCAR T細胞には当てはまるが、共刺激因子4-1BBを組み込んだAR-T細胞には当てはまらず、LAで抗原をターゲットにしているにもかかわらず、PD-L1による抑制に対する感受性が低い。

 本研究で得られた知見は、PD-1/PD-L1経路の破壊を含むCAR-T療法、特に固形癌の効果的な治療に役立つと思われる。