[出典] "The pRb/RBL2-E2F1/4-GCN5 axis regulates cancer stem cell formation and G0 phase entry/exit by paracrine mechanisms" Chang CH [..] Pauklin S. Nat Commun. 2024-04-27. https://doi.org/10.1038/s41467-024-47680-z [所属] U Oxford (Nuffield Department of Orthopaedics, Target Discovery Institute, Department of Hepatobiliary and Pancreatic Surgery9, Oxford University Hospitals NHS Foundation Trust

 癌幹細 (cancer stem cells: CSCs) が、癌の致死性、化学療法抵抗性、転移性などをもたらしているとされているが、Cancer stem cell 1細胞非自律的なシグナル伝達経路と細胞自律的な転写機構が、どのようにしてCSCsの幹細胞様特性を制御しているのかは、まだ十分に理解されていない。オックスフォード大学の研究チームが今回、SILAC/質量分析を介した定量的プロテオミクスによる膵癌 (浸潤性膵管癌 / Pancreatic Invasive Ducatal Adenocarcinoma: PDAC)におけるCSCsからの全分泌タンパク質 (セクレトーム) の同定し [Fig. 1 a 引用右図参照]、エピジェネティック酵素のスクリーニング、CSCスフェロイドと患者由来のPDACオルガノイドを対象とするCancer stem cell 4CRISPRa/iによる遺伝子転写活性化/抑制の実験も行なって [Fig. 4 a引用左図参照]、その制御機構の一端を明らかにした。
健常な膵管細胞では、細胞自律的なE2F1/4-pRb/RBL2軸が、非細胞自律的なシグナル伝達とバランスをとっているが、KRAS変異によって、その制御が不能になる。
E2F1とE2F4によるWNTリガンド(例えばWNT7A、WNT7B、WNT10A、WNT4)の発現誘導と、pRb/RBL2によるWNTリガンドの発現抑制とを介して、PDAC加えて乳癌の双方において、CSCsの自己複製、化学療法抵抗性、浸潤性、および線維芽細胞の増殖を制御している 。
GCN5の阻害がE2F1/4を介したWNTリガンドの誘導を抑制し、膵臓CSCsを消失させる。

 本研究から、多様な癌において、パラクリンシグナル伝達経路がE2F-GCN5-RB軸によって制御されており、これがCSCsを排除するための治療標的となりうることが示唆された。