[出典] "CRISPR-dCas13d-based deep screening of proximal and distal splicing-regulatory elements" Recinos Y [..] Zhang C. Nat Commun. 2024-05-07. https://doi.org/10.1038/s41467-024-47140-8 [所属] Columbia U

 遺伝子発現における重要なプロセスであるmRNA前駆体 (pre-mRNA) スプライシングは、アンチセンスオリゴヌクレオチド (ASO) を含む様々な薬物を用いて治療的に調節することができる [J Biol Chem , 2021]。しかし、治療に最適な標的を決定するには、スプライシング制御エレメント (splicing-regulatory elements: SRE) をその本来の配列コンテキストに体系的にマッピングすることが必要である。これまでに同定されたエピジェネティックおよび転写制御エレメントと比較すると、ヒトゲノムにおいて機能が明らかにされたSREは断片的である。

 コロンビア大学の研究チームは今回、触媒活性を失活させたCRISPR-RfxCas13d RNA標的システム (dCas13d/gRNA) をSREに結合し、内因性スプライシング因子と競合させて、スプライシングを制御することで、SREのハイスループットなスクリーニングを実現し、この手法を、SplicedRUSH (splicing regulation uncovered by steric hindrance) として発表したSpliceRUSH [Fig. 1引用右図参照]。dCas13d/gRNA複合体がpre-mRNA中のSREに結合すると、スプライシングを正または負に制御する同族スプライシング因子またはRNA-二次構造に拮抗し、立体障害を介してスプライシングを調節する。この作用様式は、Cas13 gRNA [22-30nt;挿入図 1a参照] と似た長さ(〜15-30nt)を持つASOに共通している。したがって、特定のRNA配列を標的とするgRNAのスプライシング調節作用に基づき、このアプローチによって、SREのネイティブ配列コンテキストにおけるマッピングと、治療薬のためにスプライシングを調節するためにdCas13d/gRNAやASOによって標的可能な領域の同定が可能になる。

 SplicedRUSHによって、遠位イントロン配列を含む遺伝子領域をタイリングするレンチウイルスgRNAライブラリーを用いて、目的の遺伝子のSREをマッピングする。これを、脊髄性筋萎縮症 (spinal muscular atrophy: SMA)の治療標的であるSMN2 に適用したところ、SpliceRUSHは、既知のSREだけでなく、これまで知られていなかった遠位イントロンSREもロバストに特定し、dCas13d/gRNAまたはASOのいずれかを用いてエクソン7のスプライシングを改変する標的とすることに成功した。この技術により、スプライシング制御のより深い理解が可能となり、RNAベースの創薬への応用が期待される。