[注] リガンド性: ligangabilityの仮訳
[出典] "DrugMap: A quantitative pan-cancer analysis of cysteine ligandability" Takahashi M, Chong HB, Zhang S, Yang TY [..] Lawrence MS, Bar-Peled L. Cell 2024-04-22. https://doi.org/10.1016/j.cell.2024.03.027 [所属] Massachusetts General Hospital, Scorpion Therapeutics, Broad Institute, Harvard Medical School, Harvard U;グラフィカルアブストラクト

 システインに焦点を当てたケミカル・プロテオミクス・プラットフォームは、癌の幅広い標的に対する共有結合阻害剤の臨床開発を加速させている。システイン指向型アプローチの進歩により、現在では1回のランで10,000以上のシステインの日常的な定量が容易になり、多重化技術により数百の共有結合フラグメントに対応する標的の同定が可能になった。一方で、癌発症の多様な背景がシステイン標的化にどのような影響を及ぼすかは未知のままである。この疑問を解決するために、Massachusetts General Hospitalを主とする研究チームが今回、一連のケミカル・プロテオミクス実験を行い416種類の癌細胞株からシステイン・リガンド性を収集したアトラスである 'DrugMap'を開発した。予想に反して、システインのリガンド性は癌細胞株によって異なったが、その原因は細胞の酸化還元状態の違い、タンパク質の立体構造の変化、遺伝子変異であることが、明らかになった。

 これらの知見を活用して、NF-κB1とSOX10における標的可能なシステインを同定し、これらの転写因子の活性を阻害する共有結合リガンドを開発した。NF-κB1プローブはDNA結合を阻害し、SOX10リガンドはSOX10-SOX10相互作用を増加させ、メラノーマの転写シグナル伝達を阻害することを実証した。

 今回の発見は、癌全体におけるシステイン・リガンド性が不均一であることを明らかにし、システイン・ターゲッティングを促進する細胞に内在する機構を明らかにし、共有結合プローブによる発癌性転写因子の活性を阻害するアプローチが有効なことを示した。

[crisp_bio注]
  • 'DrugMap'は、2023年1月にNuleic Acids Research 誌から刊行された論文で使われている:"DrugMAP: molecular atlas and pharma-information of all drugs" Li F, Yin J [..] Zeng S, Chen Y, Zhu F. Nucleic Acids Res 2023-01-06. https://doi.org/10.1093/nar/gkac813; Webサイト http://drugmap.idrblab.net