[出典] "FTH1 overexpression using a dCasRx translation enhancement system protects the kidney from calcium oxalate crystal-induced injury" He Z, Dong C, Song T [..] He R, Li S.  Cell Mol Biol Lett 2024-05-07. https://doi.org/10.1186/s11658-024-00582-w [所属] Renmin Hospital of Wuhan U, Zhongnan Hospital of Wuhan U, Huanggang Central Hospital of Yangtze U

 中国の研究チームが、dCasRxに真核生物の翻訳開始因子4G (eIF4GI)を組み合わせたdCasRx-eIF4GIと称する哺乳類用の翻訳増強システムを構築し、mRNAレベルに影響を与えることなく、リボソームをリクルートすることで、標的遺伝子の翻訳レベルを高め、最終的にさまざまな内因性タンパク質の翻訳レベルを増加させることに成功した。dCasRxは、そのサイズが小さいことから、dCasRx-eIF4GI翻訳促進因子は単一のウイルスベクターによる効率的な送達とトランスフェクションが実現された。

 これまでの研究で、シュウ酸カルシウム (CaOx) 結晶を介するフェロトーシスが結石形成を促進することが報告されてきたが、その検証のために、dCasRx-eIF4GIin vitroおよびin vivoの腎臓結石モデルに適用した。フェロトーシス調節遺伝子FTH1を標的とするdCasRx-eIF4GIにより、設計通りmRNAレベルに影響を与えることなく、FTH1タンパク質レベルが顕著に上昇した。その結果、細胞内フェロトーシスが抑制され、CaOx結晶による細胞障害と腎障害が予防された。

 本研究は、哺乳動物細胞をベースとした疾患モデルにおいて、dCasRx-eIF4GI翻訳促進因子の有効性と応用の可能性を示し、タンパク質翻訳研究および腎臓結石の治療戦略に新たな知見とツールを提供するに至った。