[注] DSB (DNA double-strand break / DNA二本鎖切断)

[出典] “Linking CRISPR–Cas9 double-strand break profiles to gene editing precision with BreakTag” Longo GMC, Sayols S [..] Roukos V. Nat Biotechnol. 2024-05-13. https://doi.org/10.1038/s41587-024-02238-8 [所属] Institute of Molecular Biology (Mainz), Johannes Gutenberg U (Mainz), U Patras (Greece)

 Cas9は、DNA二本鎖を切断後 (DSB)、平滑末端または付着末端の異なる編集結果をもたらすが []、切断のタイプを決定する因子は不明である。今回、ドイツにギリシャが加わった研究チームが、次世代シーケンシング (NGS) をベースとして、Cas9によって誘導されるDSBをゲノムワイドでプロファイリングし、Cas9切断形式の決定因子を同定するための汎用性の高い手法を開発して、BreakTagとして発表した。

 BreakTag 1BreakTagは、in vitroCas9-sgRNA RNPによって消化されたゲノムDNA中の遊離DSB末端を4つの簡単なステップでマッピングする、拡張性の高いプロトコルである [Fig. 1 a 引用右図参照]

 BreakTag 2BreakTagのユニークな利点は、BreakTagサンプル調製中に5′オーバーハングを埋め、3′オーバーハングを除去することで、DSBリードの予想される開始位置がずれ、元のDSB末端構造のフットプリントが得られるため、元のDSB末端構造をトレースできることである [Fig. 2 a, b引用右図参照]

 BreakTag 5具体的には約3,500sgRNAsが標的とする150,000以上の内因性オンターゲットおよびオフターゲット部位におけるSpCas9による切断結果を同定し、Cas9切断形式が、DNA:gRNAの相補性とCas9のタイプ (野生型とバリアント)に依存することを発見した [Fig. 5引用右図参照]。さらに、ヒトの遺伝子変異がCas9の切断プロファイルに与える影響を調査し、Cas9変異体に特有な決定因子を同定した。最後に、付着末端切断の配列決定因子と挿入の予測可能性を探索し、修正可能な病原性一塩基欠失を推定する機械学習モデルを考案した。

 本研究は、Cas9ヌクレアーゼによるゲノム編集の予測可能性と精度が、Cas9の切断構造と関連していることを立証し、Cas9の柔軟な切断プロファイルが、野生型Cas9と異なる切断プロファイルを持つCas9バリアンと共に、精密な挿入欠失誘導に利用可能なことを示した。

[2018-07-24 奥が深いCas9によるDSBからのdsDNAの修復結果と修復過程を探る (2)