• [出典]CUT-PCR: CRISPR-mediated, ultrasensitive detection of target DNA using PCR. Lee SH, Yu J, Hwang GH, Kim S, Kim HS,4, Ye S, Kim K, Park J, Park DY, Cho YK, Kim JS, Bae S. Oncogene. 2017 Aug 28.
  • 血中循環腫瘍由来DNActDNA)が腫瘍特異的バイオマーカーとして注目を集めているが、早期発見のバイオマーカーとして利用するには特に、極めて微量のctDNAをエンリッチする技術が必須である。
  • Casタンパク質はPAMを認識してDNAを切断するが、腫瘍細胞特有の変異がPAM配列を改変しCas9から逃れるという仮説のもとに、Casにより血中の野生型DNAを切断・除去(バックグラウンドを低減)した後に、標的変異領域をPCR増幅しディープシーケンシングで同定する手法CUT (CRISPR-mediated, Ultrasensitive detection of Target DNA)-PCR法を設計(挿入図Figure 1-a参照)。

CUT-PCR1 CUT-PCR2

  • はじめに、COSMIC (Catalogue of Somatic Mutations in Cancer)データベースに登録された 325,856種類の腫瘍細胞変異を、PAM変異を介して検出可能か否かを、それぞれ特有のPAMを認識し互いに直交するCas9エンドヌクレアーゼとCpf1についてin silico解析し、CUT-PCRによってCOMIC登録癌細胞変異の〜80%を検出可能と見積もった(Fig 1-b/cと挿入表Supplementary Table 1 参照)。
  • 続いて、CUP-PCR法を、野生型遺伝子配列を帯びたプラスミドと腫瘍変異遺伝子配列を帯びたプラスミドを混在させた in vitro試験系で評価し、<0.01%以上の高感度で変異遺伝子を検出可能なことを確認した。
  • さらに、ステージ1を含む8名の大腸癌患者と4名の健常者由来血漿中のDNAからCUT-PCR法によって、腫瘍組織のpyrosequencingよりも精密なKRAS 変異検出が可能なことを確認した(挿入表Supplementary Table 2参照)。

CUT-PCR3

  • CUT-PCRの性能は、互いに直交するエンドヌクレアーゼを加えてPAMを拡張することで向上する。