[出典] “Computational Design of Cyclic Peptide Inhibitors of a Bacterial Membrane Lipoprotein Peptidase” Craven TW, Nolan MD,  [..] Cochrane SA, Scanlan EM, Caffrey M, Baker D. ACS Chem Biol. 2024-05-07. https://doi.org/10.1021/acschembio.4c00076 [所属] U Washington Seattle, Trinity College Dublin, The Francis Crick Institute, Queen's U Belfast, U Birmingham

 世界的な脅威である多剤耐性グラム陰性菌に対する新たな抗生物質の必要性は依然として高い。リポ蛋白質に特異的なシグナルペプチダーゼであるシグナルペプチダーゼII (LspA)はグラム陰性菌のリポ蛋白質生合成経路に不可欠な酵素であり、抗菌薬創製の魅力的なターゲットである。LspAの阻害剤としては、環状デプシペプチドであるグロボマイシンのような天然の阻害剤が同定されているが、安定性が低く、製造が困難であるため、臨床での使用には限界がある。

 David Bakerらと英国の研究チームが今回、Rosetta software suiteを利用することで、グロボマイシンの安定な環状ペプチド類似体をde novoで生成するために、わずかに12種類のペプチドの合成と試験を経て、グロボマイシンの安定な環状ペプチド類似体のde novo創製を実現した。すなわち、コストのかかる大規模なライブラリーの調製やスクリーニング・キャンペーンを回避することに成功した。

 Peptide Inhibitors最も強力な類似体は、ESKAPE-E [*]病原体に対する微量希釈アッセイにおいて、グロボマイシンと同等かそれ以上の抗菌活性を示し、また、多剤耐性菌に対する抗菌薬創製にコンピュテーショナルデザインが有用であることを示した [グロボマイシンとの構造比較, Figure 1引用右図参照]
[*] ESKAPE-E (Enterococcus faecium, Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae, Acinetobacter baumannii, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter spp. and Escherichia coli)

[参考] コンフォメーションが制限された多様なペプチドのde novoで設計可能とする計算機的手法に関連する論文