[] NHEJ (非相同末端結合); HDR (相同組換え修復)

[出典] “Fusion of histone variants to Cas9 suppresses non-homologous end joining” Kato-Inui T, Takahashi G, Ono T, Miyaoka Y. PLoS One. 2024-05-13. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0288578 [所属] 東京都医学総合研究所, 東京医科歯科大学, お茶の水女子大学

 汎用性の高いゲノム編集ツールとして、CRISPR-Cas9システムは標的部位にDNAの二本鎖切断 (DSB)を誘導し、主に2つのDNA修復経路を活性化する: すなわち、相同な鋳型DNAとの組換えによって正確な編集を可能にするHDRと、切断されたDNAの両端を結合するNHEJである。したがって、NHEJを抑制しながらいかにHDRを強化するかが、精密なゲノム編集を必要とする応用を成功させる鍵となる。

 Fusion of histoneヒストンは塩基性アミノ酸を多く持つ小さなタンパク質で、DNAに対して静電的親和性を生じる。著者らは今回、DNA修復過程に関与しているヒストンH2A.XCas9に融合させることで、NHEJが抑制され、HDR/NHEJ比を改善できることを示した [Fig. 1引用右図参照]

 H2A.Xの様々な翻訳後修飾がDNA修復の制御に関与していることから、リン酸化、メチル化、アセチル化などの翻訳後修飾を複製するH2A.X模倣バリアントの融合を試みたが、いずれもHDR/NHEJ比の改善は見られなかった。

 さらに、他のヒストンバリアントをCas9に融合させたところ、H2A.1H2A.Xよりも強くNHEJを抑制することが明らかになった。

 本研究はヒストンバリアントをCas9に融合させることが、高精度なゲノム編集を実現するための有望な選択肢であることを示した。