[出典] “Structure and genome editing of type I-B CRISPR-Cas” Lu M, Yu C [..] Yang Z, Xiao Y. Nat Commun 2024-05-15. https://doi.org/10.1038/s41467-024-48598-2

 [所属] China Pharmaceutical U, Nanjing Foreign Language School, National Singapore, National Clinical Research Center for Infectious Disease (深圳)

 ICRISPR-Casシステムは、マルチサブユニットエフェクターCascadeとヘリカーゼ・ヌクレアーゼCas3を用いて外来核酸を標的として分解するシステムであり、原核生物における最も豊富なRNA誘導型適応免疫システムである。長い断片の欠失を引き起こすその能力から、真核生物のゲノム編集への関心が高まっている。

 他のタイプIシステムのカスケード構造はすべて決定されているが、最も進化的に保存されているタイプI-Bカスケードの構造はまだ解かれていなかった。中国とシンガポールの研究チームが今回、Synechocystis sp. PCC 6714 (Syn)I-B型カスケードの2つの構造をクライオ電顕法で再構成し、RNAによるカスケードの組み立て、標的DNAの認識、Rループ形成に伴うエフェクター複合体の局所的な構造変化の分子メカニズムを明らかにした。驚くべきことに、Cas5のループがPAMの主溝に直接インターカレートし、PAMの認識を促進していた。

 さらに、mRNAを介したデリバリーを用いて、ヒトCD3+T細胞におけるこのI-Bカスケード-Cas3のゲノム編集プロファイルを特徴付けたところ、TRAC遺伝子座の4.5kbを一方向に欠失させ、最大41.2%の編集効率を達成した。

 本研究は、I-B型カスケードによる標的DNA認識を理解するための構造的基盤を提供し、ヒトT細胞における大規模ゲノム編集にこのシステムを利用するための基盤を供した。

[構造情報]

  • Cascade比較図EMD-34495/PDB 8H67: type I-B Cascade bound to a PAM-containing dsDNA target at 3.8 angstrom resolution.
  • EMD-35629/PDB 8IP0: Cryo-EM structure of type I-B Cascade bound to a PAM-containing dsDNA target at 3.6 angstrom resolution

[] 挿入図は、Fig. 6から引用したI-BCascadeの構造比較図