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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[] hfCas12Max, Cas12iを、より高活性、より高特異性、より広範なPAM認識へと改変したバリアント [1]

[出典] “Engineering hfCas12Max for improved gene editing efficiency” Han X [..] Zhu JK, Duan Z. The Innovation Life. 2024-05-21. https://doi.org/10.59717/j.xinn-life.2024.100068 [所属]  Shandong Normal U, Bellagen Biotechnology, Southern U Science and Technology, Center for Advanced Bioindustry Technologies CAAS.


 
hfCas12Maxのサイズは1,081-aaSpCas9 (1,368-aa)より小さくCas12i31,045-aa)と同程度である。中国の研究チームはまず、Cas12i3hfCas12Maxの構造をAlphaFold2モデルを介して比較し、アミノ酸配列の同一性が29%しかないにもかかわらず、それらの折りたたみ構造が全体的に類似している (RMSD = 2.4)ことを見出した [論文 Fig.1 A 参照]

 先行研究におけるCas12i3の高精度版Cas-SF01導出 [*2]で得られた知見をもとに、Cas12i3ヌクレアーゼ活性を50%以上増加させた23種類の変異を、hfCas12Maxのスキャフォールド上の構造的に相同な部位に導入した。その結果、43%の変異がhfCas12Maxの活性を増加させ、その中で一つの変異A825Rは活性を20%近く増加させ、編集効率は98.3%に達した [論文 Fig.1 B 参照]

 研究チームは今回得られた4重変異体(N243R/E336R/A825R/D892R)をhfCas12Max**と命名し、TTR遺伝子上の20箇所を標的とする遺伝子編集効率を評価した。その結果、先行研究のhfCas12Max [*1]と比較して、平均28%の編集効率の向上が示された [論文Fig. 1CD]。ヒト細胞におけるhfCas12Max**のオンターゲット特異性をさらに評価するため、ディープシーケンスにより、TTRおよびP2RX5標的部位におけるインデルの頻度、ならびに計算により予測されたオフターゲット遺伝子座を定量した。この解析により、hfCas12Max**は、オフターゲット効果を最小限に抑えながら、オンターゲット編集効率が高いことが示された{論文Fig. 1 E参照]

[

  1. VCRISPR-CasシステムのCas12iヌクレアーゼの拡充 (2) [第2項] Cas12iをより高活性、より高特異性、より広範なPAM認識に向けて改変;An engineered xCas12i with high activity, high specificity, and broad PAM range" Zhang H, Kong X, Xue M [..] Zhou Y, Yang H. Protein Cell 2023-06-23.
  2. VCRISPR-CasシステムのCas12iヌクレアーゼの拡充(2) [1] 動植物における効率的なゲノム編集ツールであるCas12iヌクレアーゼ開発;"An engineered Cas12i nuclease that is an efficient genome editing tool in animals and plants" Duan Z, Liang Y [..] Zhu JK. Innovation. 2024-03-04.
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