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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] “CRISPR/Cas9-mediated gene disruption determines the roles of MITF and CITED2 in human mast cell differentiation” Mo J, Wermeling F, Nilsson GP,  Dahlin JS. Blood Adv 2024-06-05. https://doi.org/10.1182/bloodadvances.2023012279 [所属] Karolinska Institutet and Karolinska U Hospital, Uppsala U

 造血幹前駆細胞 (HSPC) から様々な細胞系譜への分化は、細胞内在性の因子や前駆細胞の微小環境によって制御されている。マウスの実験により、肥満細胞の分化を制御する転写調節因子が同定された。しかしながら、ヒトの初代造血前駆細胞 (HPC) において、個々の転写調節因子を効率的に破壊し、肥満細胞の形成を読み取ることのできる包括的なアプローチは、これまで報告されていない。

  その中で、スエーデンの研究チームが今回、ヒト肥満細胞の分化に必要な遺伝子と不必要な遺伝子を同定できるCRISPR-Cas9 RNPのエレクトロポレーション に基づくノックアウト (KO) システムにより、この課題を解決した。

  • 転写因子MITFがヒト肥満細胞前駆細胞で発現上昇することを示し、MITFを欠損すると肥満細胞の形成が抑制されることを明らかにした。
  • 対照的に、マスト細胞分化の軌跡に沿って発現が上昇するもう一つの転写調節因子であるCITED2は、ヒトのマスト細胞分化には不要であった。

 こうして、ヒト肥満細胞の分化制御における2つの転写調節因子の役割が明らかになった。

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