[出典] “Structure-guided discovery of highly efficient cytidine deaminases with sequence-context independence” Xu K, Feng H, Zhang H, He C, Kang H [..] Zuo E. Nat Biomed Eng. 2024-06-03. https://doi.org/10.1038/s41551-024-01220-8 [所属] Agricultural Genomics Institute at Shenzhen Chinese Academy of Agricultural Sciences

 シトシン塩基エディター (CBE) の応用展開にあたっては、CBEの編集活性の配列コンテクストへの依存と、オフターゲット編集が課題である。中国の研究チームは今回、CBEの構成要素の一つであるシチジンデアミナーゼの改変を介した課題解決を試みた。

  • まず、深層学習をベースとしたタンパク質構造モデリングシステムAlphaFold2を用いて1,483個のシチジンデアミナーゼの立体構造をAIベースで予測した [Fig. 1引用右図参照]。続いて、これらのデアミナーゼを構造的類似性に基づいてクラスタリングし、各クラスタから代表的なデアミナーゼを選び、塩基編集活性の機能解析を行った。
  • このスクリーニングにより、他のシチジンデアミナーゼベースとする既存のCBEよりも高い編集効率、高いオンターゲット:オフターゲット編集比、多様な編集ウィンドウなど、様々な特徴的な機能を示す、これまで解析されていなかったデアミナーゼがいくつか発見された。
  • 最も興味深かったのは、ほとんどのデアミナーゼが特定の配列コンテクストに対して何らかの選好性を示した中で、異なるAC/GC/TC/CCモチーフにおける編集に対する選好性を無視するか、あるいは全く示さずに、これまでに報告されている他のコンテキスト非依存型エディターよりも高い編集効率、少ないオフターゲット作用、モチーフ間の編集部位の均等な分布を示す、いくつかのコンテクスト非依存型デアミナーゼを同定したことである。
  • 加えて、予測されたDNA相互作用残基に注目して合理的に設計された突然変異誘発により、オフターゲット編集を大幅に減少させた。
  • これらのシチジンデアミナーゼをベースとするCBEは、DNAの二本鎖切断 (DSB) を伴わずに、哺乳動物細胞内で、停止コドンの生成を介したシングルコピーおよびマルチコピー遺伝子へのナンセンス変異導入を実現した。
  • 最適化されたシチジンデアミナーゼは、特定の用途のために、あるいはヒト細胞における塩基編集産物の純度を向上させるために、複数のCRISPR-Casタンパク質と互換性がある可能性がある。

 このような高度な編集特性は、特定の疾患関連部位における編集を極めて厳密に制御する必要のある、高度に専門化された遺伝子治療へと展開できる可能性がある。