[出典] “Unraveling the impact of AXIN1 mutations on HCC development: Insights from CRISPR/Cas9 repaired AXIN1-mutant liver cancer cell lines” Zhang R [..] Smits R. PLoS One. 2024-06-07. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0304607 [所属] Erasmus Medical Center Cancer Institute & Erasmus Center for Biomics (Erasmus U Medical Center), Yunnan Minzu U (兼任) 

 AXIN1は肝細胞癌 (HCC)で最も多く変異している遺伝子の一つである。しかし、AXIN1による肝細胞癌の発生に関する20年にわたる研究にもかかわらず、AXIN1変異肝細胞癌がβ-カテニンシグナル伝達の亢進を示すかどうか、またそれが肝細胞癌の増殖に関係しているかどうかは未だ不明である

 オランダの研究チームが今回、CRISPR/Cas9ゲノム編集を利用して、先行研究の対象とした変異に比べてよりN末端側における切断変異を帯びた5つのHCC細胞株でAXIN1切断変異を修復する実験から、機序の解明に取り組んだが、AXIN1変異に関連したHCC発症の根底にある複雑なメカニズムを理解するためには、さらなる研究が必要であるという結論に至った。

 各細胞株について、2-4個の正しく修復されたクローンを得ることに成功した。これらのクローンはすべて、細胞生存率とコロニー形成の減少を伴うβ-カテニンシグナル伝達の減少を示した。修復されたクローンをWnt3Aを含む条件培地にさらすと、β-カテニンシグナル伝達は回復したが、増殖特性は回復しなかったか、部分的にしか回復しなかった。RNA-seq解析から、修復されたAXIN1クローンに関連する遺伝子発現パターンを探索した。いくつかの高応答性β-カテニン標的遺伝子を除き、遺伝子/パスウェイの発現に一貫した変化は観察されなかった。この観察は、AXIN1変異HCCと関連しているNotchおよびYAP/TAZ-Hippoシグナル伝達経路にも当てはまった。AXIN1が修復されたクローンでは、AXIN1YAP/TAZタンパク質の安定性とシグナル伝達に直接関係しているという最近の観察も確認できなかった。