[出典] “An efficient low cost means of biophysical gene transfection in primary cells” Huang S [..] Henderson JT. Sci Rep 2024-06-08. https://doi.org/10.1038/s41598-024-62996-y [所属] U Toronto, Mount Sinai Hospital, Princess Margaret Cancer Centre, Queen’s U
効率的で簡便な細胞の遺伝子改変は、現代の分子生物学にとって不可欠なものとなっている。大半の細胞株や限られた初代細胞では、このような遺伝子改変は様々な方法によって容易に行うことができる。しかし、幹細胞のような多くの初代細胞株において、遺伝子導入効率の悪さが依然として課題である。
その課題解決に向けていくつかの物理的アプローチが導入されているが、それらはしばしば高価で特殊な装置や消耗品を必要とし、また、かなりの細胞数を必要とし、それでもなお効率の悪さに悩まされることが多い。ウイルス法を利用すれば、そうした細胞集団を形質導入することが可能であるが、大規模な遺伝子アレイを標的とする場合には長い時間がかかり、バイオハザードの懸念があり、ウイルスタンパク質の発現をもたらすこともある。
カナダの研究チームは今回、小容量の細胞 (1-10μl) に適用可能で、一般の研究者が容易に入手できる装置で構成でき [Fig.1引用右図参照]、適用範囲が広く、低コスト (100CADドル以下) のエレクトロポレーション法を開発した。
さらに、このシステムによるES細胞株への遺伝子導入効率は、市販の装置に比べて6倍向上することが確認された。
本研究で実現されたエレクトロポレーション法は、効率向上と体積および印加電圧の減少により、Cas9/gRNAトランスフェクションのようなプロトコルに必要な試薬を減らしながら、効率の良い幹細胞集団のゲノム編集が実現する。
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