crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1.Cas9発現マウスにAAV9sgRNAsを送達し、出生後CRISPR/Cas9ゲノム編集を試みた

  • “Postnatal Cardiac Gene-Editing Using CRISPR/Cas9 with AAV9-Mediated Delivery of Short Guide RNAs Results in Mosaic Gene Disruption.” Johansen AK et al. Circ Res. August 29, 2017.
  • 心筋細胞特異的にCas9を発現させたマウスに、心筋細胞必須遺伝子3種類(Myh6Sav1Tbx20)それぞれを標的とするsgRNAsを心臓作用性のAAV9で送達したところ、編集効率が標的遺伝子によって異なり、Myh6を標的とするsgRNAのみが表現型に影響を与えることを見出した((Cas9発現は心臓の機能と遺伝子発現には影響を与えなかった))。また、sgRNAペアを利用することでSav1遺伝子のコーディング領域削除を実現したが、心筋遺伝子のCRISPR/Cas9機能解析にはさらなる評価研究が必要。

2.CRISPR/Cas9で朝顔の色を編集

  • CRISPR/Cas9-mediated mutagenesis of the dihydroflavonol-4-reductase-B (DFR-B) locus in the Japanese morning glory Ipomoea (Pharbitis) nil.” Watanabe K, Kobayashi A, Endo M, Sage-Ono K, Toki S, Ono M. Sci Rep. 2017 Aug 30;7(1):10028.
  • 我が国のナショナルバイオリソースプロジェクトで維持・研究されているアサガオ品種ムラサキの未熟胚培養細胞に、茎と花の色に関わるアントシアニン生合成酵素遺伝子dihydroflavonol-4-reductase-B (DFR-B)を標的とするCas9sgRNA発現コンストラクトをアグロバクテリウム法で形質転換し、CRISPR/Cas9によるアサガオのゲノム編集が可能なことを実証した。
  • 挿入図は三層の細胞分裂組織(L1L3)のうちL1L2に起こった変異に依存する野生型(b)からの花と茎の色の変化を示す:morning glory

3.CRISPRiで非相同末端結合(NHEJ)修復を抑制し油性(oleaginous)酵母Y.lipolyticaの相同組換え(HR)修復によるゲノム編集を亢進

  • CRISPRi repression of nonhomologous end-joining for enhanced genome engineering via homologous recombination in Yarrowia lipolytica.” Schwartz C, Frogue K, Ramesh A, Misa J, Wheeldon I. Biotechnol Bioeng. 2017 Aug 19.
  • dCas9と転写抑制因子Mxi1を融合し、TSSと、TATAボックスまたは近接するPAMを標的とするsgRNAsを利用することで、標的とした遺伝子9種類の中で8種類について転写抑制を確認。CRISPRiによりKU70KU80の活性を一時的に抑制することにより、HRの効率を改善することに成功。

4.CRISPR/CRISPRi併用代謝工学

  • Combining CRISPR and CRISPRi Systems for Metabolic Engineering of E. coli and 1,4-BDO Biosynthesis.” Wu MY, Sung LY, Li H, Huang CH, Hu YC. ACS Synth Biol. Publication Date (Web): August 30, 2017.
  • CRISPRで生合成経路を組込みCRISPRiで競合代謝経路を抑制することで、大腸菌による効率的1,4-ブタンジオール(1,4-BOD)生合成を実現。CRISPRにより6種類の遺伝子をノックインするなどにより、48時間で0.9/Lの力価を実現。さらに、CRISPRiにより、生合成経路からの1,4-BOD代謝フラックスを減じる遺伝子を抑制することで、1.8g/Lの力価(倍増)を実現し、γ-ブチロラクトン/コハク酸塩の力価をそれぞれ55%/83%減。

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